みなさん、こんにちは!このシリーズでは、Googleアナリティクス4(GA4)の活用方法を紹介しています。GA4の使い方を基礎から応用まで、初心者の方々にも分かりやすいように丁寧に解説していきます。今回は、「GA4の標準レポートでフィルタ機能を使いこなそう!」に焦点を当てます。
フィルタ機能を使って詳細なデータを抽出することは非常に重要です。
この記事を通じて、フィルタ機能の基本と使い方、さらに正規表現を使った少しアドバンス的なフィルタリングを、初心者の方にも理解していただけるように解説していきます。
フィルタ機能について一緒に学んでいきましょう。それではどうぞ!
1.標準レポートとは
GA4には主に「レポート」「探索」「広告」の3つがあります。この中の「レポート」は「標準レポート」と呼ばれています。
この標準レポートは、ウェブサイトやアプリの基本的なパフォーマンスをレポーティングするための機能です。以前はあくまでも概要や傾向を見るだけの機能でしたが、最近では今回紹介するようなフィルタ機能が強化されたり、標準レポートで出したレポートを探索機能で編集できる機能などが出るなど充実してきました。
2.フィルタ機能とは
フィルタ機能は、特定の条件に基づいてデータを抽出し、詳細な分析を行うためのツールです。フィルタ機能の主な目的は、膨大なデータの中から必要な情報を効率よく見つけ出し、ユーザーの行動やサイトのパフォーマンスを評価することです。GA4のフィルタ機能が強化されたことで、以前は難しかった細かい設定や正規表現を使ったフィルタリングが可能になりました。
GA4の標準レポートで正規表現が使えるようになったのは、2023年8月からです。この機能追加により、レポートのフィルタリングがより柔軟かつ詳細に行えるようになりました。
今までは下部の矢印「検索」というフィルタしかなかったが、新たに上部の「フィルタを追加」が追加された
3.フィルタ機能でできること
GA4のフィルタ機能は、データ分析をより詳細かつ効果的に行うための機能です。ここではフィルタ機能を使って何ができるかについて詳しく説明します。
3-1. 特定のユーザー(条件)の絞り込み
フィルタ機能を使って特定の条件に合致するユーザーを絞り込むことができます。例えば、特定の地域からの訪問者、特定のデバイスを使用しているユーザー、特定のキャンペーンを通じてサイトに訪れたユーザーなどを分析することが可能です。
例)
・地域→ 「日本」からの訪問者のみを対象とする。
・デバイス→スマートフォンを使用しているユーザーのみを対象とする。
3-2. 特定のイベントやページビューの追跡
GA4のフィルタ機能を使用すると、特定のイベントやページビューに基づいてデータをフィルタリングできます。これにより、ユーザーがサイト上でどのようなアクションを取ったのか、どのページを閲覧したのかを詳細に追跡することが可能です。
例)
・イベント→「購入」イベントが発生したユーザーのみを対象とする。
・ページ→特定のURLパス(例:「/thank-you」ページ)を訪れたユーザーのみを対象とする。
3-3. 複雑な条件の設定
フィルタ機能では、複数の条件を組み合わせることができ、非常に複雑なフィルタを設定することが可能です。これにより、特定のユーザー行動や特性に基づいた詳細な分析ができます。
4.フィルタ機能を使うメリット
フィルタ機能を使うことで、特定の条件に基づいたデータを効率よく抽出し、以下のようなメリットを享受することができます。
・精度の高い分析
特定の条件に基づいてデータを絞り込むことで、より正確な分析が可能になります。
・時間の節約
膨大なデータの中から必要な情報を効率よく抽出できるため、分析作業の時間を大幅に節約できます。
・カスタマイズ可能なレポート
ビジネスのニーズに合わせて、カスタマイズされたレポートを作成することができます。
GA4のフィルタ機能を活用することで、データ分析がより精密かつ効率的になります。特定のユーザーセグメントやイベント、ページビューに基づいた詳細なフィルタリングを行うことで、ビジネスの意思決定を支援し、より効果的なマーケティング戦略や改善施策を立てることができます。
5.フィルタ機能の使用方法
①レポートを開く
GA4の標準レポート(例:「トラフィック獲得」など)を開きます。
②フィルタを設定する
レポートの上部にある「フィルタを追加」をクリックします。
③フィルタ条件を指定する
フィルタを適用したいディメンション(例:デバイスカテゴリ、イベント名、ユーザー属性など)、マッチタイプ、値、を選択します。
デバイスカテゴリを「desktop」ユーザーだけにフィルタリングしたので数値が変わった。
6.正規表現とは
フィルタ機能のマッチタイプには「正規表現」があります。ここで「マッチタイプ」と「正規表現」についてもおさらいしておきましょう。フィルタ条件に適した正規表現を入力し、適用します。
フィルタ機能で正規表現を使用するマッチタイプは4パターン
GA4のフィルタ機能では、正規表現を使ってデータをフィルタリングする際に、以下の4つの条件を設定することができます。
①正規表現に一致:指定した正規表現に完全一致するデータを抽出します。
②正規表現に部分一致:指定した正規表現の一部に一致するデータを抽出します。
③正規表現に一致しない:指定した正規表現に一致しないデータを抽出します。
④正規表現に部分一致しない:指定した正規表現の一部に一致しないデータを抽出します。
それぞれの条件について詳しく解説します。
①正規表現に一致
この条件は、指定した正規表現に完全に一致するデータを抽出します。例えば、^/products/という正規表現を使用すると、/products/で始まるすべてのURLが抽出されます。
②正規表現に部分一致
この条件は、指定した正規表現の一部に一致するデータを抽出します。例えば、.*/thank-youという正規表現を使用すると、URLのどこかに/thank-youが含まれるすべてのページが抽出されます。
③正規表現に一致しない
この条件は、指定した正規表現に一致しないデータを抽出します。例えば、^/admin/という正規表現を使用すると、/admin/で始まらないすべてのページが抽出されます。
④正規表現に部分一致しない
この条件は、指定した正規表現の一部に一致しないデータを抽出します。例えば、.*/privateという正規表現を使用すると、URLのどこかに/privateが含まれないすべてのページが抽出されます。
これらの条件を使い分けることで、データをより細かくフィルタリングし、分析の精度を向上させることができます。正規表現を正しく理解し、効果的に活用することで、GA4のフィルタ機能を最大限に活用しましょう。
正規表現は、特定のパターンに一致する文字列を検索・操作するための強力なツールです。GA4では、フィルタ機能で正規表現を使用することで、より柔軟かつ精細なデータ抽出が可能になります。
GA4でよく使う正規表現
正規表現 | 正規表現の意味 | 使用例 | 実際にどう抽出されるか |
. | 任意の1文字と一致 | /product. | /product1, /products, /productA など |
* | 0回以上の繰り返し | /products/* | /products/, /products/item1, /products/item2 など |
+ | 1回以上の繰り返し | /products/.+ | /products/item1, /products/item2 など |
? | 0回または1回の出現 | /products/? | /products/, /products |
[] | ブラケット内のいずれか1文字と一致 | /category/[a-z] | /category/a, /category/b, /category/c など |
^ | 文字列の開始位置と一致 | ^/blog | /blog/post1, /blog/post2 など |
$ | 文字列の終了位置と一致 | /contact$ | /contact |
| | いずれかのパターンに一致 | /about|/contact | /about, /contact |
レポート「トラフィック獲得」でフィルタリング。ディメンションを「セッションのメインのチャネル」にしてマッチタイプを「正規表現に部分一致」にし、正規表現で「|」を使用して「Organic」と「Paidを抽出した。
フィルタ機能をどう活かすか
フィルタ機能を活用することで、データ分析がより効果的になります。以下に、具体的な活用方法をいくつか紹介します。
1. 特定のユーザーセグメントに絞ったキャンペーンの効果測定
フィルタ機能を使うことで、特定のユーザーセグメントに対するキャンペーンの効果を詳細に分析できます。例えば、特定の地域やデバイスを使用しているユーザーだけに絞ってデータを分析することで、そのセグメントに対するキャンペーンの成功度を評価し、次回のマーケティング戦略に役立てることができます。
例: 日本国内のスマートフォンユーザーに対する広告キャンペーンの効果を測定するため、フィルタを設定して該当するデータだけを抽出します。これにより、特定のセグメントにおけるコンバージョン率やエンゲージメント率を正確に把握できます。
2. 特定のページのパフォーマンスの詳細分析
フィルタ機能を使って、特定のページやURLパスのパフォーマンスを詳細に分析できます。これにより、ユーザーがどのページで離脱しているのか、どのページが最もエンゲージメントを引き出しているのかを特定し、サイトの最適化に役立てることができます。
例: 新製品ページのパフォーマンスを評価するため、該当するURLを含むデータだけをフィルタリングします。この分析により、そのページの訪問数、滞在時間、コンバージョン率などを詳細に把握し、改善点を見つけることができます。
3. 複数条件を組み合わせた分析
フィルタ機能では、複数の条件を組み合わせることができるため、非常に細かい分析が可能です。例えば、「過去30日以内にサイトを訪れ、特定のイベントを実行したユーザー」という条件を設定することで、特定のユーザー行動を詳細に追跡し、分析できます。
例: 過去30日以内に「購入」イベントを実行したユーザーのデータをフィルタリングすることで、購入に至った経路やキャンペーンの効果を詳細に分析し、次回のマーケティング施策の計画に役立てます。
これらの方法を活用することで、マーケティング戦略の改善やサイトの最適化が可能となり、データドリブンな意思決定ができるようになります。フィルタ機能を上手に使って、GA4のデータ分析をより効果的に行いましょう。
まとめ
今回の記事では、GA4の標準レポートにおけるフィルタ機能と正規表現の活用方法について詳しく解説しました。フィルタ機能を使いこなすことで、データ分析の精度を高め、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。例えば、特定のユーザーセグメントに絞ったキャンペーンの効果を測定したり、特定のページのパフォーマンスを詳細に分析したりすることができます。正規表現を使ったフィルタリングにより、柔軟かつ詳細なデータ抽出が可能となり、ビジネスの意思決定を支援します。
正規表現を使用することで、特定のパターンに一致するデータを簡単にフィルタリングでき、複雑な条件を設定することが可能です。これにより、特定のイベントやユーザー行動をピンポイントで分析し、マーケティング戦略の改善やサイトの最適化を実現できます。フィルタ機能を効果的に活用することで、データドリブンな意思決定が可能となり、ビジネスの成功に寄与します。
このガイドが、GA4を効果的に活用するための一助となれば幸いです。次回もGA4のさらに進んだ機能とその活用方法に焦点を当てていきますので、ぜひお楽しみに!
初級者のためのやさしくGoogleアナリティクス4(GA4)を説明する18回
第1回:Googleアナリティクス4(GA4)とは?
第2回:Googleアナリティクス4(GA4)の設定方法:アカウントとプロパティの作成
第3回:GA4入門者必見!効果的なデータ収集のための6つの設定
第4回:はじめてのGA4 レポート機能を使ってみよう
第5回:リアルタイムレポートでウェブサイトの現状を把握しよう
第6回:GA4におけるーザー属性と興味関心の分析方法
第7回:オーディエンス機能とは?オーディエンス機能の有効的な使い方
第8回:レポート機能を使ったチャネル分析
第9回:イベントとコンバージョンの設定
第10回:ライブラリ機能を使ったカスタムレポートの作り方
第11回:初心者でもわかるように解説!探索機能の使い方_基礎編
第12回:探索機能の「空白」テンプレートの使い方
第13回:探索機能の「セグメント」の使い方
第14回:探索機能の「経路データ探索」の使い方と分析
第15回:探索機能の「ファネルデータ探索」の使い方と分析
第16回:クロスドメインとは?クロスドメインの役割と設定方法について詳しく解説
第17回:GA4利用者必見!utmパラメータとは?役割と設定方法について詳しく解説
第18回(最終回):GA4とGoogle Search Consoleの連携方法
追加の5回
第19回:GA4でYouTubeの計測をしよう!実装方法から計測方法まで完全レクチャー!
第20回:GA4のDebugviewの使い方を完全レクチャー!
第21回:GA4の標準レポートでフィルタ機能を使いこなそう!
第22回:GA4で正規表現を使えるようになろう!
第23回:GA4の管理画面でどんなことができるのかを完全レクチャー!