第15回 探索機能の「ファネルデータ探索(目標到達プロセス)」の使い方と分析

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初級者のための やさしくGoogleアナリティクス4(GA4)を説明する18回

みなさん、こんにちは。このシリーズでは、Googleアナリティクス4(GA4)の活用方法を紹介しています。GA4の使い方を基礎から応用まで、初心者の方々にも分かりやすいように丁寧に解説していきます。

今回は第15回目として、「ファネルデータ探索」の使い方と分析に焦点を当てます。

ユーザーがウェブサイトでどのように行動しているかを理解することは、マーケティング戦略を立てる上で非常に重要です。どのページが効果的で、どこでユーザーが離脱しているのかを明確にすることが、改善の手掛かりとなります。この記事を通じて、ファネルデータ探索機能の基本から、それを利用した具体的な分析方法までを、初心者の方にも理解していただけるように解説していきます。

GA4を使って、より詳細なユーザー行動の分析を通じてウェブサイトのパフォーマンスを向上させるための洞察を得ましょう!それでは、ファネルデータ探索の使い方を一緒に学んでいきましょう。それではどうぞ!

ファネルとは何か?

GA4を使用する際、非常に重要な概念の一つが「ファネル」です。ファネルとは、ウェブサイトやアプリにおいて、ユーザーが目標を達成するまでの一連のステップを視覚化したモデルのことを指します。これにより、マーケティング担当者やウェブサイトのオーナーは、ユーザーが目標に到達する過程でどの段階で離脱しているか、またはどの段階で最も関心を持っているかを把握できます。

例えば、オンラインストアでの購入プロセスでは、ファネルは「商品ページの閲覧」から始まり、「カートに追加」、「購入手続き開始」、「購入完了」と続きます。各ステップにおけるユーザーの進行状況を追跡することで、どの段階で顧客が脱落しているのかが明らかになり、特定のステップを改善して全体のコンバージョン率を向上させるためのアクションを起こすことが可能です。

「ファネルデータ探索」でできる分析

GA4の探索機能にあるテンプレート「ファネルデータ探索」を使用すると、さまざまな種類のファネルを設定して、具体的なユーザー行動分析ができます。このツールの力を活用することで、次のような洞察を得ることができます。

放棄率の最適化

ファネルの各ステップでのユーザーの離脱率を詳細に確認し、最も改善が必要なエリアを特定します。例えば、多くのユーザーがカートに商品を追加後に購入を完了しない場合、チェックアウトプロセスの簡略化が必要かもしれません。

ユーザー行動の理解

特定のユーザーグループ(例えばデバイスによる分類)がファネルの特定のステップでどのように行動しているかを分析します。これにより、特定の市場やセグメントに最適化されたマーケティング戦略を展開することが可能です。

エンゲージメントの深堀り

ユーザーがサイト内でどのようにエンゲージしているかを深く掘り下げます。例えば、ビデオコンテンツの視聴が購入確率をどれだけ高めるかなど、具体的なコンテンツの効果を評価します。

このように、「ファネルデータ探索」は、ユーザーの行動を詳細に追跡し、ウェブサイトやアプリの改善点を見つけるための強力なツールです。これを活用することで、より効果的なユーザーエクスペリエンスを提供し、最終的な目標達成につなげることができます。次回はこれらの分析を基に、具体的な改善策をどのように実行するかをご紹介します。

「ファネルデータ探索」の使い方

「ファネルデータ探索」は、ウェブサイトの各目標に対するユーザーの行動を理解し、それらがどのように変換に繋がるかを分析するための機能(テンプレート)です。この機能を活用することで、マーケティング戦略の効果を最大限に高めるための具体的なデータを得ることができます。ここでは「ファネルデータ探索」を設定し活用する方法を詳細に説明します。

計測したい目標を決める

まず、分析したい目標を明確にしましょう。例えば、「購入完了」「資料ダウンロード」「会員登録」などが該当します。

必要なイベントを設定する

目標達成までの各段階をイベントとして設定する必要があります。例えば、「商品詳細ページ閲覧」「カート追加」「購入完了」などが該当します。

レポートを作成する

左メニューから、「探索」を選択します。
②テンプレートから「目標到達プロセス」を選択します。

④デフォルトで設定してあるステップをすべて削除してステップの鉛筆マークをクリックします。



⑤各ステップで、計測したいイベントを選択します。
例えば特定ページの閲覧を設定したい場合は
・ステップ名を記入します。
・新しい条件を追加で「ページタイトルとスクリーンクラス」にします。
・さらに特定ページのタイトルの一部などを記入します。

⑥ステップ間の計測は「直接」か「間接」かを選択します。

次の直接的ステップ

「次の直接的ステップ」とは、ユーザーが特定のアクションやイベントから次に直接移行するアクションを指します。これは、ユーザーがあるポイントから別のポイントへと移る際に、その間に他のアクションを挟まずに直接遷移することを意味します。例えば、商品ページから直接カートにアイテムを追加する行動がこれに該当します。このステップは、非常に直接的で明確なユーザーの意図や行動パターンを示しています。

次の間接的ステップ

一方で「次の間接的ステップ」とは、ユーザーが最終的な目標に至るまでの間に複数の異なるアクションやページを経由するパターンを指します。これは、ユーザーが一つのアクションから別のアクションへ移る際に、一連の中間ステップを踏むことを意味します。たとえば、ユーザーが商品ページを見た後にレビューページを確認し、その後で購入ページに進むケースなどがこれに当たります。これらの間接的なステップは、ユーザーの決定過程や情報収集の過程をより詳細に理解するのに役立ちます。

⑦必要に応じてステップ間の時間制限も設定できます。

⑧データが完成しました。


データの分析

目標設定が完了した後、具体的なデータ分析に移ります。以下の視点でファネルデータを見ることで、ユーザーの行動パターンと目標達成の関係を深く理解できます。

ファネルビュー

ユーザーが目標に到達するまでの各ステップを視覚的に表示します。これにより、どのステップでユーザーが離脱しているかが一目でわかります。

セグメント分析

異なるユーザーセグメント(例えば、年齢、性別、地域、使用デバイスなど)による行動の違いを分析します。これにより、特定のセグメントに特化したマーケティング戦略を立てることができます。

変換率の最適化

変換率を高めるために、離脱率が高いステップに対する改善策を立案します。例えば、購入プロセスの一部でユーザーが大量に離脱している場合、そのプロセスをよりシンプルかつ直感的にすることが考えられます。

改善策の実施

分析に基づき、ウェブサイトのユーザーインターフェイスやコンテンツ、マーケティング戦略を改善します。

結果のモニタリング

改善後、再度データを収集し、変更がポジティブな影響をもたらしたかを評価します。

継続的な最適化

ファネルデータ探索は一度設定するだけでなく、定期的に見直しと最適化が必要です。市場の変化やユーザーの行動パターンの変化に対応するために、継続的にデータを分析し、必要に応じて調整します。


「ファネルデータ探索」の使い方をマスターすることで、ウェブサイトやアプリの成果を最大限に引き出すことができます。

「ファネルデータ探索」の機能

各ステップの「平均経過時間」

ファネルデータ探索では、ユーザーが各ステップを通過するのに要する「平均経過時間」を計測できます。このデータは、ユーザーが特定のアクションを完了するまでにどれだけの時間がかかるかを示し、プロセスの各部分での滞留時間を理解するのに役立ちます。例えば、購入プロセスで決済画面に長時間滞留している場合、支払いプロセスの複雑さが原因である可能性があります。この情報をもとに、よりシンプルな支払い手順への改善を図ることができます。

内訳

「ファネルデータ探索」の内訳機能を利用することで、さまざまなユーザー属性(年齢、性別、地域、デバイスタイプなど)に基づいたデータ分析が可能です。このセグメンテーションにより、特定のユーザーグループがどのように行動するかを詳しく見ることができ、ターゲットマーケティング戦略の最適化に役立ちます。

ファネルをオープンにする

ファネルデータ探索における「ファネルをオープンにする」機能は、ユーザーの行動分析をより柔軟かつ詳細に行うための強力なオプションです。従来のファネルでは、設定したステップの順番どおりにユーザーが行動した場合のみをカウントしていました。しかし、実際のユーザー行動は必ずしも順番どおりとは限らず、ステップを飛ばしたり、後戻りしたりすることもあります。

そこで、「ファネルをオープンにする」機能では、ステップの順番に関係なく、ファネルに入ったユーザーすべてをカウントすることができます。

ファネルデータ探索を使った効果的な分析方法

GA4の「ファネルデータ探索」を活用することで、ウェブサイトやアプリの目標達成に向けたユーザーの行動を効果的に分析し、マーケティング戦略やユーザーエクスペリエンスの改善につなげることができます。ここでは、このツールを使用した具体的な分析方法について説明します。

目標の明確化

分析の第一歩として、何を目標とするかをはっきりさせます。目標は、製品の購入、サインアップの完了、コンテンツのダウンロードなど、具体的で測定可能なものである必要があります。これらの目標をGA4で設定し、関連するイベントを適切にトラッキングすることが重要です。

ファネルの設計

ユーザーが目標に到達するまでの各ステップをファネルとして設計します。このファネルには、初期の訪問から目標達成までの全ての重要なアクションが含まれるべきです。例えば、製品購入のファネルでは、「商品ページ閲覧」、「カートに追加」、「チェックアウト開始」、「購入完了」というステップが考えられます。

データの収集と分析

ファネルが設計されたら、ユーザーの各ステップでの行動を詳細に分析します。特に注目すべきは、各ステップでの離脱率と平均経過時間です。これらのデータから、ユーザーがなぜ途中で離脱するのか、どのステップに時間がかかっているのかを把握することができます。

セグメントによる詳細分析

異なるユーザーセグメント(年齢、性別、地理的位置、使用デバイスなど)に基づいてデータを分析することで、特定のグループに対して最適化を行うことができます。セグメント別にファネルのパフォーマンスを見ることで、特定の市場向けのカスタマイズされた改善策を立案することが可能になります。

直接ステップと間接的ステップの分析

ユーザーが目標達成に向けて直接進むステップと、間接的なルートをたどるステップを分析します。この情報は、ユーザーの行動パターンをより深く理解し、可能な限り効率的なパスを提供するために利用します。不要な間接的ステップを排除または改善することで、ユーザーエクスペリエンスの向上と変換率の増加を図ります。

「ファネルデータ探索」を効果的に利用することで、ウェブサイトやアプリのユーザー体験を根本から理解し、目標達成に向けた最適なルートを設計することが可能です。これにより、ビジネスの成果を大きく向上させることができるでしょう。

まとめ

第15回の記事では、「ファネルデータ探索」機能を駆使して、ウェブサイト内でのユーザー行動の流れとコンバージョンに至るプロセスをどのように分析するかについて掘り下げました。特に、ユーザーがサイト上の重要なページのどこで離脱しているかがわかります。ウェブサイトやアプリのユーザー体験を深く理解し、効果的な改善策を講じるための非常に強力な機能です。この機能を利用することで、ユーザーの行動パターンを明確に把握し、キーイベントレートを向上させることが可能になります。

また、具体的なファネルの設定方法や、データの分析技法についても解説しました。これにより、マーケティングの取り組みが実際にどの程度の成果をもたらしているのかを具体的に把握することができます。さらに、得られたデータを活用して、より効果的な戦略を策定し、実行に移すためのヒントも提供しました。

ファネルデータ探索を使った分析は、ただデータを見るだけではなく、そのデータから学び、行動に移すことが重要です。分析を通じて得られた洞察を基に、ウェブサイトやマーケティングの最適化を図りましょう。

次回もGA4をより有効に活用するためのアドバイスを提供する予定ですので、ぜひお楽しみに!

初級者のためのやさしくGoogleアナリティクス4(GA4)を説明する18回

第1回:Googleアナリティクス4(GA4)とは?
第2回:Googleアナリティクス4(GA4)の設定方法:アカウントとプロパティの作成
第3回:GA4入門者必見!効果的なデータ収集のための6つの設定
第4回:はじめてのGA4 レポート機能を使ってみよう
第5回:リアルタイムレポートでウェブサイトの現状を把握しよう
第6回:GA4におけるーザー属性と興味関心の分析方法
第7回:オーディエンス機能とは?オーディエンス機能の有効的な使い方
第8回:レポート機能を使ったチャネル分析
第9回:イベントとコンバージョンの設定
第10回:ライブラリ機能を使ったカスタムレポートの作り方
第11回:初心者でもわかるように解説!探索機能の使い方_基礎編
第12回:探索機能の「空白」テンプレートの使い方
第13回:探索機能の「セグメント」の使い方
第14回:探索機能の「経路データ探索」の使い方と分析
第15回:探索機能の「ファネルデータ探索」の使い方と分析
第16回:クロスドメインとは?クロスドメインの役割と設定方法について詳しく解説
第17回:GA4利用者必見!utmパラメータとは?役割と設定方法について詳しく解説
第18回(最終回):GA4とGoogle Search Consoleの連携方法

【監修】森 和吉

株式会社吉和の森 代表取締役
青森県八戸市出身。2019年11月、ライフワークとしてデジタル・マーケティングに携わり、人の役に立ちたいたいと思い起業。さまざまな業態・業種の事業案件を手掛けている。コンテンツ立ち上げ後の集客や運用、コンテンツを持っている事業者との「アライアンス業務」、「Webを使った集客」を強みとするウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー、提案型ウェブアナリスト。
特に不動産業が強く、デジタルマーケティングを使って、不動産投資クラウドファンディングで25万人の会員・出資額50億円を1年間で集めたり、不動産投資の累計販売額は100億を記録する。

◆著書◆
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◆株式会社吉和の森◆
https://yoshikazunomori.com/

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