不動産で少しでも成約率を上げるためには、新規顧客はもちろんのこと追客にアプローチを図ることも重要です。本記事では、不動産の追客で成果を出すためのポイントを解説。さらにおすすめの手法について紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産業界における追客とは?必要とされる理由
追客とは、商談を交わした顧客や問い合わせをしてきた顧客などに対して営業をかける手法のことです。物件案内後の結論取りや新しい物件紹介など、長期にわたって契約につなげられるよう継続的に顧客にアプローチを図っていきます。
不動産で追客が重要視される理由は、物件購入には時間がかかるためです。不動産の購入は顧客にとっては、大きな買い物といえます。例えば注文住宅の購入に1,000万円の高額コストがかかると、契約に対してかなり慎重になる方がほとんどです。
このようなことから物件の契約や準備などに時間がかかってしまうので、不動産購入につなげるためには、定期的に顧客に対してアプローチを図り続けることが鍵となります。
認知拡大が図れる
不動産で追客を実施するべき理由は、会社の認知拡大を図るためです。不動産購入までに結び付けるためには、不動産会社の認知度の向上は欠かせません。せっかく商談に訪れたのに、顧客に対して何もアプローチをしなければ不動産の存在を忘れやすくなります。
少しでも成約率アップを狙うためには、電話やメール、SNSなどさまざまなツールを活用し接触し続けることが重要です。アポイントの仕方次第では、見込みのない顧客でも数ヵ月または1年後に物件契約に至っている可能性があります。
単純接触効果で信頼を獲得しやすい
不動産で追客をするメリットは、単純接触効果で顧客から信頼されやすくなることです。ロバート・B・ザイアンスが提唱したザイアンス効果とも呼ばれており、人は何度も対象物や人物と繰り返し接触をすることで、好意的な感情を示すようになったり興味関心が高くなりやすくなったりします。
身近な具体例を挙げると、見慣れない商品よりはテレビCMやSNSで何度も見た商品の方が何となく親しみがあると感じた方もいることでしょう。商品に対して親しみやすさを感じてもらうことで、信頼獲得につながりやすくなります。
不動産に限らず多くの業界で単純接触効果による顧客のアプローチは図られているので、少しでも顧客から信頼してもらいやすくなるためには繰り返し接触を試みることが必要です。
不動産で追客する際のポイント
繰り返しアポイントを図ることで顧客獲得につながりやすくなる追客ですが、具体的に何から始めればよいのか分からない方もいることでしょう。ここからは、追客を成功させるためのポイントを紹介します。
顧客層を分類する
追客を実施する際は、顧客層を分類することが重要です。成約率を上げるために不特定多数にアプローチしても、顧客の中にはうっとうしさを感じてしまい反対に離れやすくなってしまいます。
追客で成功させるためには、顧客層によって購買意欲や商品購入の必要性が異なることを理解することがポイントです。不動産の顧客層には、今すぐ客とそのうち客、お悩み客、まだまだ客の4つのタイプがあるので、事前に整理しましょう。
タイプ | 特徴 |
今すぐ客 | ・今すぐにでも商品を購入する層・購買意欲があり条件が合えば契約につながりやすい・獲得しやすいが競合他社との顧客の争奪戦が激しい |
そのうち客 | ・購買意欲はあるが情報収集の段階の顧客層・物件選びや契約などで迷っている・アプローチの仕方次第では今すぐ客になりやすい・契約につなげるためには時間がかかる |
お悩み客 | ・物件購入の必要性を感じているが購買意欲が低い・物件購入に対する懸念点や不安などがあり、購入に踏み切れない・不安を払拭することで購買意欲が高くなる可能性がある |
まだまだ客 | ・物件購入に関する必要性がなく購買意欲がない・見込み顧客にするまでに時間がかかる・見込み顧客にするためには不動産に対する必要性と購買意欲を両方高めるコンテンツを提供する |
今すぐ客よりもそのうち客にアプローチする
追客で多くの顧客を獲得したい場合は、そのうち客にアプローチするのが望ましいです。
短期間で顧客を獲得したい場合は、どうしても今すぐ客にアポイントを取りたくなるでしょう。しかし今すぐ客はそのほかの顧客層に比べて割合が低く、競合との争奪戦で獲得しにくいです。
顧客によっては複数社と商談をしている方もいるので、営業のセンスや物件条件のよさ、対応の仕方などによっては他社に契約を取られる可能性があります。
より成約率を上げるためには、そのうち客に積極的にアプローチするのが望ましいです。今すぐ客と比較して成約までに時間がかかりやすくなりますが、アプローチの仕方によっては今すぐ客になる可能性があります。
さらにそのうち客は競争率が低く成約につなげやすいともいわれているので、ぜひ積極的にアプローチを図ってみてください。
顧客の温度感に合わせてアプローチする
当然ながら顧客層によっては、物件購入に対する購買意欲や必要性など温度感が異なります。そのため顧客層の特徴に合わせて、アプローチの仕方を変えることが重要です。
例えば物件契約について具体的な話題が上がっている顧客に対しては、積極的にコミュニケーションを図り、物件選びで迷っている顧客には物件に関する情報を発信するというように、顧客層に合わせてアプローチの手法を変えます。
顧客層に合わせて柔軟にアプローチの仕方を変えられれば、不動産の営業の成果も上がりやすくなるでしょう。
適切な頻度でコンタクトを取る
追客で不動産の契約や購入につなげるためには、先ほど紹介したザイアンス効果を生かし適切な頻度でコンタクトを取ることが必要です。しかし過度にコンタクトを取り続けてしまうと、顧客の中にはしつこさを感じてしまい離れてしまうかもしれません。
適切な頻度でコンタクトを取るポイントは、顧客の温度感に合わせてアポイントすることです。
例えば不動産の認知を目的にしている場合は1週間に1、2回の頻度で情報発信し、すでに物件の契約段階に来ている顧客層に対しては3~4か月に1回の頻度で連絡を取るというように、顧客の温度感に合わせてコンタクトを取りましょう。
もし反対に顧客側から積極的にコンタクトを取ってきた場合は、迅速に対応することが必要です。返信や返答などが遅れてしまうと顧客の熱量が冷めやすくなるので、連絡があった場合はすぐにでも対応してください。
いきなり提案するのではなく話を聴く
追客の成約率を上げるためには、顧客の話を聴くことも重要です。成約率を上げるために焦って物件を紹介したり、セミナーの案内をいきなりしてしまったりすると、顧客の中にはプレッシャーを感じやすくなってしまいます。
せっかく物件購入を検討している今すぐ客でも、押し売りのし過ぎによって契約を逃すのはもったいないです。
顧客が物件契約に対して何を求め、何を悩んでいるのかをしっかり聴いた上で、物件の詳細やセミナーなど状況に合わせて提案しましょう。
アプローチをする際は新しい情報を用意する
追客でアプローチをする際は、新しい情報を用意しましょう。単純に電話で「物件契約はいかがですか」とコンタクトを取っても、顧客によっては鬱陶しさを感じやすくなってしまいます。
アプローチをする際は、何か新しい情報を提供する建前でコンタクトを取るのがポイントです。例えば新築物件や期間限定の物件、税金の新しい体制など有益な情報を伝えて、物件契約に少しでも近づけるようにしましょう。
不動産の追客でおすすめの手法
不動産の追客では、電話やメール、SNSなどさまざまな手法が活用できます。効率よく追客をしたい場合は、複数のツールを活用してみるのもよいです。いくつかツールをピックアップし、自分に合った手法で顧客にアポイントしましょう。
1. 電話
顧客とスムーズなコミュニケーションを図りたい場合は、電話がおすすめです。電話であれば顧客の反応を伺いながらコミュニケーションが取れるので、アプローチの仕方次第ではクロージングまで持っていけます。
ただし電話でアポイントを取る際は、今すぐ客に絞るのがおすすめです。顧客によっては購入段階に至っていない方もいるため、電話でコンタクトを取り続けてしまうとしつこさを感じやすくなってしまいます。
さらに顧客との通話で生じる問題は、電話のつながりにくさです。顧客の中には多忙であるがゆえに、通話に繋がりにくい可能性があります。
もし電話でのアポイントをメインにしたい場合は、窓口での相談の際に事前に連絡できる時間帯や日時などを聞き出しましょう。顧客の都合のよい日時を事前に把握すれば、通話がつながりやすくなります。
2. メール
メールは、顧客との長期的な関係作りにおすすめのツールです。新しい物件情報や税金対策など有力な情報発信をすることによって、顧客との関係を構築し購買意欲を高めていきます。
しかしメールは、一方通行のコミュニケーションになりやすいのがデメリットです。たとえ有力な情報を発信したとしても、顧客の反応が薄いとニーズに合ったコミュニケーションが取れているのか把握しにくくなります。
さらにメールは受信歴に埋もれてしまったり、迷惑フォルダに振り分けられたりするため、認識されない可能性もあるでしょう。もしメールでの反応率の悪さが課題になっている場合は、ほかのツールの活用を検討した方がよいかもしれません。
3. DM・はがき
アナログ手法で顧客にアプローチしたい場合は、DMやはがきなどがおすすめです。新しい物件紹介はもちろんのこと、特別オファーやセミナーの案内、年賀状、暑中見舞いなどさまざまな目的で活用することができ、顧客の手元に確実に届けられます。
手書きで署名を記したものであれば、「顧客とのつながりを大事にしてくれる」ということで好感度や信頼度アップにもつながりやすくなるでしょう。
しかしDMやはがきなどは、作成に労力やコストなどがかかります。対応する顧客人数が増えれば増える程、DMやはがきの作成にはかなりの予算が必要です。
またDMやはがきは、直接成約につながるとは限りません。顧客の中には物件契約に対して考えていない方もいるため、興味がなければそのまま捨てられる可能性があります。
もしDMやはがきなどで成約率を上げたい場合は、今すぐ客やそのうち客メインで届けるのが望ましいでしょう。
4. LINE公式アカウント
日常会話に使用されるLINEですが、不動産の追客にも有効です。LINE公式アカウントとは企業と顧客をつなげるビジネスツールで、不動産に限らず多くの企業が導入しています。LINEと同様に顧客と直接コミュニケーションが取れるため、アポイントが取りやすいです。
さらにLINE公式アカウントでは、コミュニケーションのみならずクーポンの配布やAI自動返信システムなど多彩な機能が備わっています。とくにAI自動返信システムは即答で返信ができるので、営業時間外でも顧客とのコミュニケーションが進みやすくなるでしょう。
ただしLINE公式アカウントを活用する際は、事前に顧客に登録してもらうことが必要です。窓口やWEBサイトなどでLINE公式アカウントを宣伝し、登録者数を増やしましょう。
5. SMS
SMSとは、電話番号でテキストメッセージを送受信するツールのことです。相手の電話番号先にダイレクトに送信することができ、テキストを通して円滑なコミュニケーションが図りやすくなります。
さらにSMSのメリットは、到達率が高く視認してもらいやすいところです。メールの場合はフォルダの中に埋もれてしまったり、迷惑メールに振り分けられたりと視認されにくいですが、SMSはメッセージを送信すると通知機能によってアナウンスしてくれます。
繰り返しリマインドで伝えてくれる機能が備わっているため、しばらく時間が経過したとしても気づいてもらえるでしょう。
個人間での連絡はもちろんのこと、複数人に送れる一斉送信機能も搭載されているので、ツールを活用した円滑なコミュニケーションを図りたい場合はSMSを活用してみてください。
効果的な追客メールを送るコツ
メールやLINE、SMSなどで顧客にメッセージを送る際、どのような文面にするべきか迷っている方もいることでしょう。商談に訪れた顧客を逃したくないゆえに、変な文章になっていないか不安になることも無理はありません。
ここからは、メールやLINE、SMSなどのツールで追客メールを送るコツを紹介します。
件名で注目を引く
追客メールを開封してもらうためには、件名で注目を引かせることがポイントです。例えばメールの件名欄に【最重要】【新しい物件の紹介】というワードがあったらどうでしょう。逃してはいけないメールということで、顧客のほとんどは閲覧する可能性があります。
相手がメールを開くかどうかは件名で決まるともいわれているので、どのようなキーワードを使うのかが重要です。
本文は分かりやすく簡潔な文章でまとめる
追客メールの本文を作成する際は、分かりやすく簡潔な文章でまとめましょう。
とにかく有力な情報を発信したいという一心でテキストを詰め込みすぎてしまうと、顧客によっては読みにくさを感じやすくなってしまいます。人によっては文章を読むことすら、嫌になってしまうかもしれません。
追客メールで少しでも多くの顧客が獲得できるよう、シンプルなテキスト構成を意識しましょう。
PASONAの法則を活用する
不動産の営業マンの中には、文章構成で苦戦している方もいることでしょう。もし文章校正で迷った際は、PASONAの法則を活用するのがおすすめです。PASONAの法則とは、顧客に自社製品を購入してもらうためのフレームワークで、セールスライティングの分野でも活用されています。
・Problem(問題):顧客が抱えていそうな問題や欲求などの明確化
・Affinity(親近感):問題に対する共感を示し親近感を誘う
・Solution(解決策):問題に対する解決策の提示
・Offer(提案):具体的な提案の実施(価格の表示やプランの提示など)
・Narrowing Down(絞込):提案を受け入れと条件提示
・Action(行動):行動を促す
不動産の追客メールを送信する際は、PASONAの法則を活用してみると文章の作成がスムーズに進みやすくなります。具体例を下記に記載したので、ぜひメール作成の参考にしてみてください。
【物件情報の案内の場合】
件名 | 【お得な物件情報のご案内】株式会社◯◯ |
本文 | 株式会社◯◯ + (部署名)△△(相手のフルネーム) 様 お世話になっております。株式会社◯◯ の××(自分のフルネーム) と申します。 この度、商談の機会をいただきありがとうございます。先日の商談から、いかがでしょうか? 先日の商談の際は、「物件購入に対してコストの高さが気になる」とのことで結構悩まれていたかと思います。確かに物件購入は大きな買い物でもあるため、契約に慎重になりますよね。 そんな△△様の課題解決に向けて、貴社の方でぴったりの物件をピックアップしてみました。ほかの物件と比較して低価格の相場となっているので、△△様にとっては魅力的かもしれません。 さらに貴社では期間限定でキャンペーンも行っているため、合わせて利用していただけるとお得に物件購入できる可能性がございます。 物件の具体的な詳細につきましては、専用ページで閲覧できますので、少しでも興味がございましたらご連絡いただけると幸いです。 【サービス紹介資料のURL】【PDFファイルなどの添付】 それでは、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ーーーーーーーーー(自分の名前)(自社名・所属課名)(連絡先)(営業時間等) |
文言が変わらない箇所はテンプレート化する
追客メールを送信する際、文言が変わらない箇所はテンプレート化しましょう。例えば先ほどの例文を挙げると、「お世話になっております。株式会社◯◯ の××(自分のフルネーム) と申します。」の部分です。文言が変わらない箇所を1通ずつ作成していると、業務が非効率になりやすくなります。
効率よく追客メールを送信するためにも、挨拶や会社名など文言が変わらない箇所はテンプレートで添付してみてください。
追客メールの運用で苦戦した場合は『吉和の森』
もし追客メールの運用がうまくいかない場合は、『吉和の森』がおすすめです。
『吉和の森』は、東京港区にあるWEB集客を得意とする広告運用代行会社。WEBサイトやリスティング広告、SNSなどさまざまな媒体の集客サポートを実施しており、目的や予算などに合わせてプランをカスタマイズしてくれます。
WEB集客のサポートがメインとなっていますが、メールやSNSの運用サポートもしてくれるので、追客メールの運用で苦戦した場合は相談してみるとよいでしょう。
気になった方は、公式サイトでチェックしてみてください。
ツールを活用して不動産の追客を獲得しよう
本記事では、不動産の追客で成果を出すためのポイントとおすすめの手法について解説しました。不動産で追客を獲得するためには、顧客層に合わせたアプローチの仕方でコンタクトを取ることが重要です。電話やメール、LINEなどさまざまなツールを活用して、不動産の追客を獲得してみてください。