「ホームページの制作費用は広告宣伝費として一括で経費にできるの?」「ECサイトの場合は扱いが違うと聞いたけれど、具体的にどう処理すればいい?」ホームページを作るとき、制作費用の会計処理で悩む方は少なくありません。
結論から言えば、ホームページの費用が広告宣伝費になるかどうかは「サイトの機能」で決まります。単純な会社紹介サイトなら広告宣伝費として一括経費にできますが、ECサイトや会員サイトなど高機能なサイトは「ソフトウェア」として資産計上が必要になることがあります。
この記事では、広告宣伝費になるケースとならないケースの判断基準を、判断フローと早見表を使って初心者の方にもわかりやすく解説します。具体的な仕訳例や節税ポイントもまとめていますので、ホームページ制作を検討中の方はぜひ参考にしてください。
ホームページの費用は「広告宣伝費」として経費にできる?

ホームページの制作費用をどの勘定科目で処理するかは、多くの事業者が悩むポイントです。まずは基本的な考え方を押さえましょう。
原則:会社紹介・商品PRのサイトは広告宣伝費でOK
国税庁の見解によれば、ホームページは一般に企業や商品のPRのために作成されるものであり、かつ常に更新されるものであるため、その制作費用は原則として「広告宣伝費」に該当し、支出した年度に一括で経費にできるとされています。
つまり、会社概要・サービス紹介・お問い合わせフォーム程度のシンプルなコーポレートサイトであれば、制作費用の全額をその年の広告宣伝費として計上できます。
例外:高機能サイトは「ソフトウェア」として資産計上が必要
ただし、ホームページに以下のような高度な機能が含まれている場合は、税務上「ソフトウェア」に該当し、無形固定資産として資産計上が求められます。
- ECサイト(ショッピングカート、決済、在庫管理機能)
- 会員ログイン機能(マイページ、顧客管理)
- 商品検索・絞り込み機能
- 予約システム
- データベースと連携した高度なプログラム
ソフトウェアに該当する場合、耐用年数5年で減価償却していくことになり、制作費用を一括では経費にできません。
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【判断フロー付き】広告宣伝費 or 資産計上?見分け方を解説
自社のホームページがどちらに該当するか、以下の判断基準で確認しましょう。
判断基準 広告宣伝費(一括経費) ソフトウェア(資産計上) サイトの主な目的 会社紹介・商品PR・ブランディング 商品販売・予約・会員管理 主な機能 情報掲載・問い合わせフォーム程度 EC・ログイン・検索・予約システム 更新頻度 頻繁に更新される システムとして継続利用される プログラムの複雑さ HTML/CSSベースのシンプルな構成 複雑なプログラム・DB連携あり 耐用年数 −(一括経費) 5年で減価償却
広告宣伝費になるケース
- 会社概要、事業内容、アクセス情報を掲載した一般的なコーポレートサイト
- ブログ・コラムを中心としたコンテンツサイト(CMSの範囲内)
- ランディングページ(LP)
- 採用サイト(応募フォーム程度の機能)
ソフトウェア(資産計上)になるケース
- ショッピングカート・決済機能を備えたECサイト
- ユーザーがログインして利用するマイページ・会員サイト
- オンライン予約・スケジュール管理システム
- 物件検索・条件絞り込みなどデータベース連動サイト
判断に迷ったらどうする?
広告宣伝費部分とソフトウェア部分が混在するサイトの場合、それぞれの費用を分離して計上するのが原則です。明確に区分できない場合は、全額をソフトウェアとして資産計上するのが安全な処理方法です。
なお、中小企業者等(資本金1億円以下の法人)であれば、取得価額30万円未満のものは「少額減価償却資産の特例」で全額を即時経費にできます。実際の判断は必ず顧問税理士にご相談ください。
ホームページ関連費用の勘定科目一覧【早見表】
ホームページに関わる費用は、制作費だけではありません。運用にかかる費用もそれぞれ適切な勘定科目で処理する必要があります。
費用項目 勘定科目 補足 HP制作費(会社紹介・PRサイト) 広告宣伝費 一括経費処理可能 HP制作費(ECサイト・高機能サイト) ソフトウェア(無形固定資産) 5年で減価償却 レンタルサーバー代 通信費 月額・年額で経費計上 独自ドメイン代 通信費 年額で経費計上 SSL証明書代 通信費 無料の場合は不要 HP保守・更新費(軽微な修正) 修繕費 または 広告宣伝費 内容による HP大規模リニューアル(機能追加) ソフトウェア(資本的支出) 資産計上の可能性あり ロゴ・写真素材の制作費 広告宣伝費 一括経費処理可能 SEO対策の外注費 広告宣伝費 月額で経費計上 Google広告・SNS広告の出稿費 広告宣伝費 課税仕入で処理 チラシ・パンフレット印刷費 広告宣伝費 一括経費処理可能
ポイントは「制作費」と「運用費」を分けて考えることです。制作費は機能によって広告宣伝費かソフトウェアかが変わりますが、運用費(サーバー・ドメイン・保守費)は基本的にその年の経費として処理できます。
【パターン別】ホームページ費用の仕訳例
ここでは、よくある4つのパターンの仕訳例を紹介します。
会社紹介サイトを制作した場合(広告宣伝費)
会社概要やサービス紹介がメインの、一般的なコーポレートサイトを50万円(税抜)で制作した場合の仕訳です。
借方 金額 貸方 金額 広告宣伝費 500,000円 普通預金 550,000円 仮払消費税 50,000円
ECサイトを制作した場合(ソフトウェア)
ショッピングカート・決済機能を備えたECサイトを200万円(税抜)で制作した場合、ソフトウェアとして資産計上し、5年で減価償却します。
借方 金額 貸方 金額 ソフトウェア 2,000,000円 普通預金 2,200,000円 仮払消費税 200,000円
決算時の減価償却費: 2,000,000円 ÷ 5年 = 400,000円/年
サーバー代・ドメイン代の仕訳
レンタルサーバー代(月額1,000円)とドメイン代(年額1,500円)は、通信費として計上します。
借方 金額 貸方 金額 摘要 通信費 1,000円 普通預金 1,100円 レンタルサーバー代 ○月分 通信費 1,500円 普通預金 1,650円 ドメイン更新料 ○○.com
Web広告費(Google広告・SNS広告)の仕訳
Google広告やMeta広告(Instagram・Facebook広告)の出稿費用は、広告宣伝費として計上します。
借方 金額 貸方 金額 摘要 広告宣伝費 100,000円 普通預金 100,000円 Google広告 ○月分
注意点として、GoogleやMetaなど海外企業への広告費支払いは「リバースチャージ方式」が適用される場合があります。消費税の取り扱いが通常と異なるため、税理士に確認するのがおすすめです。
知っておきたい!ホームページ費用の節税ポイント3つ

中小企業の少額減価償却資産の特例(30万円未満)
資本金1億円以下の中小企業者等であれば、取得価額30万円未満の資産は全額をその年の経費にできる特例があります。たとえば、ECサイトの一部機能追加が25万円だった場合、ソフトウェアに該当しても一括で経費処理が可能です。年間合計300万円までという上限があるので注意しましょう。
広告宣伝費部分とソフトウェア部分を分離計上する
1つのホームページに広告宣伝の要素と高機能システムの要素が混在する場合、それぞれの費用を分離して計上すれば、広告宣伝費にあたる部分は一括経費にできます。制作会社に見積もりを依頼する際、「デザイン・コーディング費用」と「システム開発費用」を分けて記載してもらうと、会計処理がスムーズになります。
リニューアルは「修繕費」と「資本的支出」を区別する
既存のホームページをリニューアルする場合、軽微なデザイン変更やテキスト修正は「修繕費」として経費処理できます。一方、新しい機能の追加(EC機能、予約システムなど)は「資本的支出」としてソフトウェアに加算し、資産計上する必要があります。
リニューアル前に制作会社と相談し、「修繕費にあたる作業」と「資本的支出にあたる作業」を明確に分けておくことが節税のコツです。
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よくある質問(FAQ)
個人事業主もホームページ費用を経費にできますか?
はい、個人事業主でも事業用ホームページの費用は経費にできます。勘定科目の考え方は法人と同じで、広告宣伝のためのサイトなら「広告宣伝費」、ECサイトなら「ソフトウェア(減価償却資産)」として処理します。確定申告(青色申告)で正しく計上しましょう。
月額制(サブスク)のHP制作サービスの勘定科目は?
月額制のサービス利用料は、毎月の「広告宣伝費」または「通信費」として経費計上するのが一般的です。ただし、契約期間中に解約するとサイトが消えてしまうサービスの場合、実質的にはリース契約に近い性質を持つため、契約内容を確認のうえ処理方法を判断してください。
ホームページの更新・保守費用の勘定科目は?
テキスト修正やバナー差し替えなどの軽微な更新は「修繕費」または「広告宣伝費」で経費計上できます。一方、新機能の追加など大幅な改修は「資本的支出」としてソフトウェアに加算する必要があります。
Web広告の消費税はどう処理しますか?
国内の広告会社への支払いは通常の課税仕入れです。GoogleやMetaなど海外プラットフォームへの直接支払いは、リバースチャージ方式が適用される場合があります。消費税の処理に不安がある場合は、税理士にご相談ください。
まとめ|迷ったら「サイトの機能」で判断しよう
ホームページの費用を広告宣伝費で経費にできるかどうかは、サイトの「機能」で決まります。会社紹介やサービスPRが目的のシンプルなサイトなら広告宣伝費として一括経費に、ECサイトや予約システムなど高機能なサイトならソフトウェアとして資産計上,この基本さえ押さえておけば、迷うことは少なくなるはずです。
また、制作費用だけでなく、サーバー代やドメイン代、Web広告費など、ホームページ運用に関わるさまざまな費用の勘定科目を正しく理解しておくことで、適切な経費処理と節税につなげることができます。
吉和の森では、ホームページ制作から集客運用までをワンストップでサポートしています。制作費用の見積もりも「広告宣伝費にあたる部分」と「システム費用にあたる部分」を明確に分けてご提示しますので、会計処理もスムーズです。ホームページ制作をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
株式会社 吉和の森