「毎月高い掲載費を払っているのに、ポータルサイトからの反響が減った…」
そんな悩みを持つ不動産会社がいま、Instagram(インスタグラム)を活用して広告費をかけずに集客し、成約まで結びつけている事実をご存知ですか?
しかし、ただ闇雲に物件写真をアップするだけでは、誰の目にも止まりません。
それどころか、知識のない運用は「おとり広告」とみなされ、信頼を失うリスクすらあります。
本記事では、フォロワー数よりも「契約」に直結する、不動産特化のインスタ運用ロードマップを公開します。
アカウントの初期設定から、反響を呼ぶリール動画の作り方、プロとして守るべきコンプライアンスまで、現場ですぐに使えるノウハウを網羅しました。
不動産会社がインスタを活用する3つのメリット
不動産集客において、なぜ今Instagramが最強のツールと言われるのでしょうか。
それは、従来のポータルサイトでは伝えきれない「空気感」や「信頼」を醸成できるからです。
ここでは、不動産会社がインスタグラムに取り組むべき3つの本質的なメリットを解説します。
「住むイメージ」を直感的に伝える視覚的アプローチ
不動産物件の魅力は、スペック(条件)だけでは伝わりません。
Instagramは写真や動画を中心としたSNSであり、「日差しの温かさ」「周辺の街並み」「インテリアの雰囲気」などを直感的に伝えられます。
これにより、ユーザーは文字情報中心のポータルサイトよりも、そこでの生活イメージを具体的に想像しやすくなります。
特に近年注目されているのが「リール動画」。これを使えば、玄関を開けてからリビング、キッチン、バルコニーへと進む「疑似内覧体験」を提供できます。
動画による没入感は静止画の何倍もの情報を伝えられ、ユーザーの感情を動かします。
結果として、「この部屋で暮らしたい」という強い動機づけが生まれ、質の高い問い合わせにつながりやすくなるのです。
ポータルサイト離れが進む若年層(Z世代・ミレニアル世代)へリーチできる
現在、20代〜30代の若年層を中心に、Google検索やポータルサイトよりもSNSで情報を探す「タグる(ハッシュタグ検索)」行動が主流になりつつあります。
彼らにとってInstagramは、単なるSNSではなく、画像で探せる検索エンジンのような存在です。
この層は間取りや賃料といった条件だけでなく、「自分のライフスタイルに合うか」を重視します。
そのため、物件情報だけでなく、スタッフの人柄や会社の雰囲気が伝わるストーリー性のある発信が深く刺さります。
ポータルサイト依存から脱却し、ユーザーが「この不動産屋さんにお願いしたい」と指名で検索してくれる状態を作るには、彼らがいる場所に情報を正確に届けることが不可欠です。
広告費ゼロで資産になる「自社ブランディング」
ポータルサイトへの掲載は、掲載を止めれば反響もゼロになる「掛け捨て型」の投資です。
一方、Instagramは投稿コンテンツがアカウントに蓄積され続けるため、運用すればするほど情報量が増え、強力な「自社メディア」へと育っていきます。
投稿の積み重ねによってフォロワーが増えれば、広告費をかけずに何千、何万人もの見込み客に自社の情報を届けられるようになります。
日々の発信を通じて親近感や信頼(エンゲージメント)を築いておくことで、いざ引っ越しを検討するタイミングで真っ先に思い出してもらえる「第一想起」を獲得できます。
これは一過性の広告では得られない、長期的な経営資産となります。
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インスタ集客を成功させるための不動産会社の必須設定5選

「とりあえずアカウントを作ったけれど、問い合わせが来ない」というケースの多くは、初期設定が不十分です。
インスタグラムを集客ツールとして機能させるためには、ユーザーが迷わずに問い合わせまで辿り着ける「土台作り」が欠かせません。
ここでは、運用を始める前に必ず整えておくべき5つの設定を解説します。
1. ターゲット(ペルソナ)設定:エリア×ターゲット層
アカウントを作る前に、「誰に」「何を」届けるかを明確にするペルソナ設定が最重要です。
不動産の場合、「エリア特性」×「ターゲット層」で絞り込むと、発信内容のブレを防げます。
- 「都心×20代女性・一人暮らし」がターゲット→セキュリティの高さや、おしゃれなカフェが近くにある物件紹介が刺さる
- 「郊外×ファミリー層」がターゲット→公園や学区情報、収納の広さをアピール
ターゲットを明確にすることで、使用する言葉遣いや画像のトーン&マナーが決まり、ユーザーに「自分に関係のあるアカウントだ」と認識してもらいやすくなります。
2. プロフィール設定:3秒で「フォローする理由」を作る
プロフィールは、ユーザーがそのアカウントをフォローするかどうかを判断する「顔」です。
ここに「〇〇不動産」と社名だけ書いても、ユーザーにはメリットが伝わりません。
「港区の未公開物件を毎日配信」「仲介手数料最大無料」「初めての一人暮らしを徹底サポート」など、ユーザーが得られるベネフィット(ユーザーの利益)を短く明確に記載しましょう。
URL欄には自社サイトのトップページではなく、ユーザーにとって次のアクションが明確なリンクを設置することが鉄則です。
- LINE公式アカウントの友だち追加リンク
- 最新の物件特集ページ など
3. ビジネスアカウント化と位置情報・問い合わせボタンの設置
集客目的なら、必ず個人アカウントではなく「プロアカウント(ビジネスアカウント)」に切り替えましょう。
これにより、投稿の閲覧数やフォロワー属性を分析できる「インサイト機能」が使えるようになります。
プロフィール画面に「電話」「メール」「住所(道順)」などのアクションボタンを設置できます。不動産は来店ビジネスなので、位置情報の登録は必須です。
Googleマップと連動させることで、MEOの効果も期待でき、近隣で不動産会社を探しているユーザーに見つけてもらいやすくなります。
4. ハイライト機能で「物件・スタッフ・お客様の声」を整理
ストーリーズ(24時間で消える投稿)の重要な情報を、プロフィール下に常設できるのが「ハイライト機能」です。
ここをホームページのメニューバーのように活用しましょう。
ハイライトは、「おすすめ物件」「スタッフ紹介」「お客様の声(口コミ)」「来店予約」などのカテゴリ別にまとめるのがおすすめ。
初めてアカウントを訪れたユーザーも、ハイライトを見れば会社の強みやサービス内容をすぐに理解できます。
ハイライトのカバー画像(アイコン)をブランドカラーで統一すると、見た目もプロらしくなり、信頼感がグッと高まります。
5. サンクスページとLINE誘導の導線設計
Instagramだけでクロージング(契約)まで完結することは稀です。
最終的なゴールは、より密なコミュニケーションが取れる「LINE公式アカウント」への登録や「来店予約」です。
フィード投稿の最後の画像(サンクスページ)で、プロフィールリンクへのタップを促す施策を打ちましょう。
- 「未公開物件はLINEで配信中」
- 「今なら内覧予約でAmazonギフト券プレゼント」など
ただ「見て終わり」にさせず、明確な導線(CTA)を設計することで、フォロワーを濃い見込み客へと育成できます。
キャンペーンの活用も効果的です。
「ただのリール投稿」で終わらせない!集客に繋がるインスタコンテンツ戦略

設定が整ったら、いよいよ投稿作成です。しかし、綺麗なだけの写真では集客できません。
ユーザーがつい手を止めてしまう「フック」と、保存したくなる「有益性」が必要です。
ここでは、競合他社と差別化し、アルゴリズムにも好かれる具体的なコンテンツ戦略を3つ紹介します。
今こそ「リール動画」!没入感を生むルームツアー撮影の裏技
現在、Instagramのアルゴリズムは動画コンテンツ(リール)を優遇しており、フォロワー外への拡散力が最も高いのが特徴です。
不動産紹介において、リールは最強の武器になります。
撮影のコツは、スマホを持って「歩きながら撮る」こと。
玄関を開けるシーンから始め、廊下を抜けてリビングが広がる瞬間を見せると、視聴者は実際に内覧しているような没入感を味わえます。
動画の長さは、最後まで飽きずに見られる15秒〜30秒程度がベストです。
流行の音源を使用し、テロップで「家賃〇〇円」「駅徒歩〇分」と要点を入れると、情報の伝達スピードが格段に上がります。
静止画は「雑誌風」に!クリックされる表紙デザインの鉄則
フィード投稿(静止画)において最も重要なのは、1枚目の画像(表紙)です。
タイムラインや発見タブで流れてきたときに、指を止めてもらえるかどうかは、この1枚目で決まります。
物件の外観写真だけを載せるのではなく、雑誌の表紙のように「文字入れ」を行いましょう。
「日当たり最高の1LDK特集」「月7万円以下!神コスパ物件」など、ターゲットの関心を引くキャッチコピーを大きく配置します。
デザインに統一感を持たせることで、プロフィール画面がカタログのように美しく整い、ブランディング効果も高まります。
「地域密着」で勝つ!エリア特化ハッシュタグとMEO対策
大手ポータルサイトと戦うには、エリアを絞った「ランチェスター戦略」が有効です。
Instagramのハッシュタグも、全国規模のビッグワード(#不動産 #賃貸)ではなく、地域に特化したものを選びましょう。
例えば「#中目黒賃貸」「#世田谷一人暮らし」「#大阪リノベーション」などです。
こうしたタグ検索をするユーザーは、そのエリアへの引っ越しを具体的に検討している可能性が高く、成約に近い層です。
投稿には必ず位置情報を追加してキャプション(本文)にも地名や駅名を入れることで、発見タブで地域関連の投稿として表示されやすくなります。
【要注意】不動産インスタ運用の落とし穴とコンプライアンス

ここまでインスタの魅力を解説しましたが、SNS運用で最も恐ろしいのは、意図せず法律違反を犯して信頼を一瞬で失うことです。
不動産業界は特に規制が厳しいため、担当者はルールを熟知しておく必要があります。ここでは、絶対に守るべき3つのコンプライアンス対策を解説します。
厳守すべき「不動産公正競争規約」:おとり広告・誇大広告の禁止
Instagram上の投稿も「広告」とみなされ、不動産公正競争規約の対象となります。
最も注意すべきは「おとり広告」です。すでに成約済みの物件を「客寄せ」のために掲載し続けることは厳禁です。
また、「地域No.1」「格安」「最高」といった根拠のない最上級表現(誇大広告)も禁止されています。
投稿を作成する際は、必ず物件の最新状況を確認しましょう。以下の必要事項を、キャプションやプロフィールからリンクできる詳細ページで明示できる体制を整えてください。
- 取引態様(仲介・貸主など)
- 免許番号
- 物件所在地 など
プライバシー侵害のリスク:前居住者・近隣住民・映り込みへの配慮
内覧動画や写真を撮影する際、プライバシーへの配慮は不可欠です。室内に前居住者の郵便物や私物が残っている場合、それらが映り込むと個人情報漏洩になります。
また、バルコニーからの眺望を撮影する際、近隣住民の顔や洗濯物、表札などが映り込まないよう細心の注意が必要です。
もし映り込んでしまった場合は、編集アプリで必ず「ぼかし」や「モザイク」加工を行ってください。
トラブルを防ぐためにも、撮影前に「映ってはいけないものがないか」を確認するチェックリストを作成することをおすすめします。
著作権違反を防ぐ:BGMや他社画像の取り扱いルール
「良い写真がないから」といって、他社のホームページやポータルサイトから勝手に画像を保存して投稿するのは、著作権侵害にあたります。
必ず自社で撮影した写真か、掲載許可を得た素材を使用してください。
また、リール動画で使用するBGMにも注意が必要です。
Instagram公式のミュージックライブラリにある音源は基本的に使用可能ですが、ビジネスアカウントの場合、商用利用可能な音源が制限されることがあります。
著作権フリーの音源サイトを利用するか、Instagramが提供する「サウンドコレクション」から選ぶと安心です。
不動産会社のインスタ集客に関するよくある質問(FAQ)

最後に、不動産会社の方からよくいただく質問に回答します。運用の不安を解消し、自信を持ってスタートを切りましょう。
Q. インスタは毎日投稿しないと効果はありませんか?
毎日投稿が必須というわけではありません。重要なのは「継続」と「質」です。
無理に毎日投稿して内容が薄くなるより、週2〜3回でも、ユーザーにとって有益で魅力的な投稿(質の高いルームツアーやエリア情報など)を続ける方が、アルゴリズム上の評価も高まります。
予約投稿機能を活用して、計画的に運用しましょう。
Q. 専門的なカメラや編集ソフトは必要ですか?
高価な一眼レフや有料ソフトは、最初は必要ありません。
最近のスマートフォン(iPhoneなど)の広角モードを使えば、十分魅力的な室内写真が撮れます。
動画編集も、Instagramアプリ内の編集機能や、無料のスマホアプリ(CapCutなど)で十分プロ並みのクオリティが出せます。
機材よりも、部屋を明るく見せる「自然光」の活用や、水平垂直を意識した構図が重要です。
Q. 炎上が怖いです。対策はありますか?
炎上を防ぐには、社内のチェック体制(ダブルチェック)が有効です。
投稿前に「差別的な表現はないか」「個人情報は映っていないか」「誤解を招く表現ではないか」を複数人で確認しましょう。
ネガティブなコメントがついた場合の対応マニュアルを事前に用意しておくことも大切です。
誠実な運用を心がければ、過度に恐れる必要はありません。
まとめ:まずは他の不動産会社と差別化したインスタプロフィール作成から

不動産会社のインスタ集客は、一朝一夕で結果が出るものではありません。しかし、正しい設定と戦略に基づき、コツコツと信頼を積み重ねれば、広告費をかけずに質の高いお客様を集め続ける「最強の資産」になります。
まずは、本日紹介した「プロフィールの見直し」から始めてみてください。ターゲットに響く言葉を選び、統一感のあるデザインで整えるだけで、反応は確実に変わります。競合他社がまだ本格的に取り組んでいない今こそ、Instagramで自社のファンを増やし、安定した集客基盤を築きましょう。
あなたの会社のインスタ運用が成功することを応援しています!
株式会社 吉和の森
