スムーズに集客するために、チラシやWEBなどを使って不動産広告を出稿する方もいることでしょう。しかし不動産広告を出稿する際はいくつか注意しなければならないポイントがあります。本記事では、不動産広告で掲載する際の注意点について解説。具体的なルールや基礎知識について紹介します。
不動産広告に関する法律とルールとは?
不動産広告を掲載する際は、法律やルールについて知る必要があります。万が一法律違反やルールに反する広告掲載をしてしまうと、罰則のみならず不動産会社の信頼低下や業務停止などの可能性もあるため注意が必要です。
不当景品類及び不当表示防止法
「不当景品類及び不当表示防止法」とは、消費者の利益を守るための法律です。不動産に限らずすべての業界が守らなければならない法律で、適切な広告掲載が求められています。
「不当景品類及び不当表示防止法」で注意しなければならないのが、不当な広告掲載です。例えば実際の物件よりも良く見せたり、実在しない物件を紹介したりするなど違法な広告掲載をしてしまうと、課徴金を科せられる可能性があります。
宅地建物取引業法
「宅地建物取引業法」とは、不動産の不正取引を防止し購入者の利益を守るための法律です。不動産広告の規制はもちろんのこと、免許制度や報酬額の規制などさまざまなルールが設けられており、具体的には誇大広告の禁止や広告開始時期の制限、取引態様の明示などが該当します。
違反した場合は、罰金のみならず懲役刑を受けたり、業務停止処分を受けたりする可能性があるので注意が必要です。
不動産の表示に関する公正競争規約
不動産の広告では、ルールとして「不動産の表示に関する公正競争規約」があります。これは、不動産業界が独自で決めたルールで、不動産広告を掲載する際は規約に従うことが決められています。
万が一規約に違反してしまうと、協議会から500万円以下の違約金を科せられたり、ポータルサイトでの掲載を1ヵ月停止させられたりするので注意が必要です。
とくに以下の内容は、規約に則った記載がされているかどうかチェックされる可能性があります。
・取引態様:売主や貸主、代理、媒介(仲介)など
・物件所在地:都道府県、 郡、市区町村、字及び地番を表示
・交通の利便性:物件周辺のアクセス状況
・各種施設までの距離または所要時間:道路距離80mを1分として計算(1分未満は切り上げ)
・団地の規模:開発区域全体の規模および開発計画の概要を表示、開発許可を受けていない箇所があればその旨を伝える
・面積:メートル法で表示し、「坪」を単位とした面積のみの表示は不可
・物件の形質:居室として承認されていない物件は納戸と表示。地目は登記地目を表記
・写真や絵図:販売予定のものかどうか
・設備や施設など:ガスや上下水施設、道路の幅など
・生活関連施設:スーパーや病院、学校、郵便局など
・価格または賃料:土地1区画、建物1戸あたりの価格の表示。戸数が多い場合は最安値と最高値を表示
・住宅ローンなど:金融機関の名称もしくは商号、銀行などの種類を表示
・その他の取引条件
不動産広告で押さえるべき基礎知識と注意点
不動産広告を掲載する際、いくつか押さえなければならないルールや規則がたくさんあります。違反するとペナルティを受ける可能性があるので、不動産広告を掲載する前にチェックしましょう。
広告の開始時期の制限
物件を販売するための広告掲載は、開始時期が限られています。とくに未完成の物件は要注意です。マンションや一戸建てなどの未完成の建物の場合は建築確認取得後、未完成の宅地の場合は開発許可取得後に広告を掲載することがルールとして決められています。
たとえ完成目前の物件であっても、取得前に広告掲載をすることは認められていません。開発中の物件があれば、広告の開始タイミングに注意してください。
予告広告は掲載可能?
広告の開始時期を聞いた際、予告広告の掲載は問題ないか気になる方もいることでしょう。予告広告の場合は分譲宅地、新築分譲住宅、新築分譲マンション、新築賃貸マンション・アパートの物件であれば価格や賃料などが確定していない状態でも掲載は可能です。
ただし掲載する際は、予告広告であることと予定価格、取引開始予定時期などを明記しなければなりません。未完成の物件の掲載は予定広告であっても、禁止となっているので注意しましょう。
誇大広告の禁止
誇大広告とは実際のサービスや価格よりもよく見せ、消費者が誤解してしまう広告のことです。例えば実際の賃貸価格よりも安く表示させたり、画像を加工して実物の物件をよく見せたりするなど事実とは異なる広告表示は禁止されています。
このような広告表示は、消費者とのトラブルに発展しやすくなるので注意が必要です。
取引態様の明示
不動産広告を掲載する際は、売主や貸主、代理、媒介(仲介)などの取引態様の明示が義務付けられています。これらの情報が掲載されていなかったり、事実とは異なる内容が記載されていたりすると罰則を受ける可能性があり注意が必要です。
特定用語等の使用基準
新築や新発売、リビング、ダイニングなど何気なく使っている不動産用語は使用基準が定まっています。使用基準を無視した表現をしてしまうと、消費者を誤解させることにつながりやすくなるので注意が必要です。場合によっては、誇大広告としてペナルティを受ける可能性もあります。
特定用語等の使用基準について下記にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
特定用語 | 使用基準 |
新築 | 建築後1年未満で一度も入居されていない物件 |
新発売 | 新築、新造成された土地を指し初めて販売する |
ダイニング・キッチン(DK) | 1つの部屋に台所と食堂の機能が備わっている部屋 |
リビング・ダイニング・キッチン(LDK) | 1つの部屋に台所と食堂、居間の機能が備わっている部屋 |
広告に使用禁止のNGワード
不動産広告に限らず、使用が禁止されている用語があります。禁止の背景としては、誤った表現で消費者に誤解を与えるリスクがあるためです。
使用禁止されているNGワードは、根拠を示す資料やエビデンスなどがない限りは使用は認められません。とくに以下のワードはうっかり使ってしまうこともあるので注意しましょう。
【使用が禁止されている用語例】
禁止用語 | |
完全、完ぺき、絶対、万全など | ・物件の内容で欠けているところがない |
日本一、日本初、業界1、超、当社だけ、抜群、他に類を見ないなど | ・競争事業者の物件よりも優位に立っている |
特選、厳選など | ・一定の基準で選別された物件であることを示している |
最高、最高級、極、特級など | ・ほかの物件と比べて最上級を意味している |
買得、掘り出し、土地値、格安、投げ売り、破格、特安、激安、バーゲンセール、安値など | ・物件価格がかなり安いことを示している・安い印象を与えている |
完売など | ・売れ行きのよさをアピールしている |
二重価格の禁止
二重価格とは、商品やサービスの販売価格とは別に、それより高額な金額を別で表記すること。例えば「通常価格3,000万円の物件を売っていた場合、特別価格で2,500万円で販売」というようなイメージです。比較対象として価格を2つ表示させようとする方がいますが、原則禁止となっています。
ただし以下のような条件であれば、例外的に二重価格の表示が可能です。不動産業界での二重価格の表記ルールについては、公益社団法人全日本不動産協会の公式HPでチェックしてみてください。
・過去の販売価格の公表日または値下げした日が明示されている
・比較対照価格として使用される過去の販売価格は値下げの直前の価格(値下げ前2ヵ月以上にわたって販売のために公表されている)
・値下げの日から6ヵ月以内
・過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同一性が認められている
・土地または建物に対して表示されている
おとり広告の禁止
不動産広告で問題となっているのが、おとり広告です。おとり広告とは実際に販売できない物件を販売中であるかのように見せる広告のこと。消費者が購入しようとすると、取引できないというようなことが起こります。
悪質な不動産会社にはよく見られる広告ですが、うっかりミスでのおとり広告は要注意です。例えば物件が売れたものの掲載削除を忘れてしまったり、多忙な業務なゆえに広告削除に手が回らなかったりと、広告を放置したままにするとおとり広告の扱いを受ける可能性があります。
うっかりミスであっても、おとり広告と認識されると罰則を受けることもあるので注意しましょう。
不動産広告の掲載でトラブルを起こさないポイント
不動産広告を掲載する際は、法律や規約違反などは避けたいところでしょう。ここからは、不動産広告の掲載でトラブルを起こさないポイントを紹介します。
広告を出す前に承諾を得る
不動産広告を掲載する際は、売主や仲介契約している不動産会社などから承諾を得る必要があります。売主や不動産会社によっては広告掲載を制限しているところもあり、勝手に掲載してしまうとトラブルの原因になりやすいです。
トラブルを起こさないためにも、事前に広告掲載の許可を取りましょう。
法律やルールを把握する
不動産広告の掲載でトラブルを起こさないためには、法律やルールなどを把握することが重要です。法律やルールなどを知らずに広告掲載してしまうと、規則違反をする可能性があります。
場合によっては、業務停止や会社の信用低下にもつながりやすくなるかもしれません。
法律やルールを把握し、適切に不動産広告を掲載しましょう。
専門家に聞く
不動産広告のルールについて調べたものの、人によっては「ルールや規則などがよく分からない」という方がいるかもしれません。もし具体的な広告出稿のルールについて分からない点があれば専門家に聞くのがおすすめです。
不動産会社や弁護士であれば不動産広告に関するルールや規則などを教えてくれるので、困った際は相談してみてください。
不動産広告の集客で困った際は『吉和の森』
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不動産広告は適切に掲載しよう
本記事では、不動産広告を掲載する際の注意点について解説しました。不動産広告は細かいルールや規則などが設けられているので、事前にチェックすることが必要です。法律やルール、規則などを把握した上で、不動産の広告は適切に掲載しましょう。