「自分だけの家計管理アプリが欲しい」「でも、プログラミングって難しそう…」
そんな風に感じているプログラミング未経験の方にこそ、知ってほしい新しい開発手法があります。それが「Vibe Coding(バイブコーディング)」です。
バイブコーディングを使えば、専門知識がなくても、まるで誰かとチャットするようにAIと対話するだけで、あなたのアイデアを形にできます。
この記事では、「バイブコーディングの始め方」をテーマに、ITが苦手な方でも分かるように、その概要から具体的な手順、おすすめのツールまでを網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたも自分だけのアプリ開発へ、第一歩を踏み出せるはずです。
Vibe Coding(バイブコーディング)とは?
Vibe Coding(バイブコーディング)とは、AI(人工知能)と自然な言葉で対話しながら、アプリケーションやシステムを開発する新しい手法です。
最大の特徴は、人間の持つ「こんな感じ」という曖昧な雰囲気(Vibe)やイメージをAIが解釈し、具体的なプログラムコードへと変換してくれる点にあります。例えば、開発ツール上で「シンプルなToDoリストを作って」と話しかけるだけで、AIが要件を理解し、必要なコード一式を瞬時に生成します。
つまり、難しいコードの書き方を覚えなくても、会話を通じて直感的にプログラミングを進められる、画期的な開発スタイルなのです。

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バイブコーディングは他のAIコーディング手法とはどう違う?

AIが開発を支援する技術は以前からありましたが、バイブコーディングは従来の手法と一線を画します。その違いは主に以下の3つです。
- 敷居の低さ
- 対話形式
- 開発速度
1. エンジニア以外も使える敷居の低さ
バイブコーディングの最大の魅力は、プロのエンジニアでなくても使える圧倒的な敷居の低さにあります。
従来のAIツールは、あくまで専門家が使うコーディングの「補助」が目的でした。しかし、バイブコーディングはプログラミング知識がゼロの状態からでも利用を開始できます。
これにより、これまで開発とは無縁だった企画職の方や個人事業主、主婦の方まで、誰もが自分のアイデアを直接プロダクトとして形にできる「プログラミングの民主化」を実現します。
2. 自然言語による対話型開発
バイブコーディングは、自然言語による「対話」で開発が完結する点も大きな違いです。
従来のAIがコードの一部を補完したり、特定の部分を生成したりといった部分的な支援に留まっていたのに対し、バイブコーディングは「こんな感じのアプリが欲しい」という抽象的な指示からシステム全体を構築できます。例えば、「デザインをもっとシンプルにして」といった会話の往復だけで開発が進むため、より直感的で柔軟な開発が可能です。
3. 開発速度の向上
開発速度が劇的に向上し、アイデアを即座に形にできることもバイブコーディングの強みです。
設計から実装までの工程の多くをAIが自動化するため、アイデアの着想から試作品(プロトタイプ)が完成するまでの時間が圧倒的に短縮されます。従来は数週間かかっていた作業が数時間で終わることもあり、多くのアイデアを素早く試行錯誤できます。その結果、開発者は「どう作るか」という技術的な課題ではなく、「何を作るか」という本質的で創造的な作業に集中できるようになります。
Vibe Coding(バイブコーディング)を始める前に必要なもの【環境構築】

バイブコーディングを始めるには、AIと対話し、プログラムを実行・管理するための開発環境をPCに準備します。
これらはAIとの作業場であり、コードの実行エンジンとして機能します。
具体的には、以下のツールを準備するのが一般的です。
項目 説明 AI対応エディタ AIと対話するメインの作業場(例: Cursor, VS Code + Copilot拡張機能)。 OpenAI APIキー 特定のAIサービスを利用するための認証キー(ツールによる)。 GitHubアカウント 作成したコードを保存・管理するためのWebサービス。 開発言語の実行環境 作成したプログラムを動かすためのエンジン(例: Node.js, Python)。 バージョン管理ツール 変更履歴を記録し、いつでも元に戻せるようにするツール(Git)。 ターミナル操作環境 PCに文字で直接命令するためのツール(一部のCLIツールで利用)。
最初は難しく感じるかもしれませんが、全てを一度に揃える必要はありません。
作りたいものに応じて、まずはAI対応エディタとGitHubアカウントの準備から始めてみましょう。
Vibe Coding(バイブコーディング)の始め方【計5ステップで解説】

それでは、具体的なバイブコーディングの始め方を、「自分専用のTo Doリスト」の作成を例に、5つのステップで解説します。
- ツールのインストールと初期セットアップ
- 開発の目的・モノを明確にする
- プロンプトを設計する
- AIと対話しながらプロトタイプを生成する
- デプロイして完成
この手順に沿えば、誰でも開発をスタートできます。
ステップ①: ツールのインストールと初期セットアップ
まず、開発ツールをPCにインストールし、初期設定を行います。
初心者の方であれば、簡単に使えるバイブコーディングツールをインストールしましょう。
- AI機能が統合されたエディタ「Cursor」
- Webアプリの実行環境である「Node.js」など
これらを公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。コードの保存先となる「GitHub」のアカウントも作成し、エディタと連携させておきます。
この簡単なセットアップで、開発を始める準備は完了です。
ステップ②:開発の目的・モノを明確にする
次に、「何を作りたいか」という開発の目的を具体的に定義します。目的が明確であるほどAIに対して的確な指示を出せるため、開発がスムーズに進みます。
最終目標が「高機能な家計管理アプリ」だとしても、最初は「レシートの金額を入力して記録する機能」のように、機能を絞って小さく始めるのが成功のコツです。
自分の身近な課題(例:献立メモ、To Do リスト)に着目すると、アイデアも浮かびやすいでしょう。バイブコーディングは後からの修正も簡単なので、悩みすぎず「まず始めてみる」姿勢も大切です。
ステップ③:プロンプトを設計する
AIに伝える指示、すなわち「プロンプト」を設計します。このプロンプトの質が、生成されるコードの精度を左右する最も重要な工程です。
曖昧な指示ではなく、使用技術や要件を具体的に伝えましょう。
- 「HTMLで作成して」
- 「UIはミニマルなデザインで」
- 「タスクをローカル保存できる機能付きでお願い」など
一度に全てを頼むのではなく「構成→実装→改善」のように、指示を段階的に分けるのも非常に効果的です。的確なプロンプトが、AIの能力を最大限に引き出す鍵となります。
ステップ④:AIと対話しながらプロトタイプを生成する
設計したプロンプトを使い、AIと対話を繰り返しながら試作品(プロトタイプ)を構築していきます。「指示→AIが生成→人間が確認→修正依頼」というサイクルを回すことで、イメージ通りの成果物へと効率的に近づけていきます。
例えば、「タイマー機能を作って」と指示してAIが生成したコードを確認。その後「やっぱり残り時間を表示して」と追加で依頼する、といった対話形式で開発を進めます。もしエラーが出ても大丈夫。そのときは、エラー内容をAIに伝えれば解決策を提示してくれます。
また、開発の途中でセーブポイントを作りたくなりますよね。そんな時はAIに「今の状態をGitHubにpush(セーブ)して」と指示しましょう。GitHubに作業履歴を保存しておくことで、万が一の際のバックアップになり、安心して開発を進められます。
ステップ⑤:デプロイして完成
最後に、完成したアプリを「デプロイ(公開)」します。デプロイとは、作成したアプリをインターネット上にアップロードし、スマートフォンなど他のデバイスからでもアクセスできるようにする作業です。
VercelやNetlifyといった無料のサービスを使えば、初心者でも驚くほど簡単に公開できます。「このアプリをVercelで公開したい」とAIに指示すれば、必要なコマンドや手順を案内してくれます。
公開後は、実際にスマホでアクセスし、表示崩れなどがないかを確認しましょう。これで、あなただけのオリジナルアプリの完成です。
バイブコーディングにおすすめのツール3選

バイブコーディングを強力にサポートするツールの中から、特に初心者でも始めやすい代表的なものを3つ紹介します。
1. Gemini CLI
Googleの最新AI「Gemini」をターミナル(黒い画面)から利用できる無料ツールです。Google検索と連携しているため情報の精度が高く、コード生成からファイル操作までAIとの対話で完結できます。Node.js環境があればすぐに導入できる手軽さも魅力で、無料で正確性を重視する方におすすめです。
2. Claude Code
自然な会話能力に定評があるAnthropic社のAI「Claude」を搭載した開発支援ツールです。人間と話すような自然な文脈理解に基づき、コード作成や改善(リファクタリング)を行えます。より高機能・高精度な開発体験を求める方向けの強力な有料ツールで、特にMacでの利用が推奨されています。
3. WindSurf
チャット形式でAIとの共同作業に特化した、新しい開発支援ツールです。直感的で分かりやすいUI(操作画面)が特徴で、プログラミング初心者でも迷わず使い始められます。AIがタスクを自動で細分化してくれるなど、チームの一員のように開発をサポートしてくれるため、チャットの使いやすさを重視するなら最適です。
バイブコーディングに関するよくある質問(Q&A)

ここでは、バイブコーディングに関するよくある質問に簡潔にお答えします。
Q1: プログラミング未経験でもバイブコーディングでアプリ開発はできますか?
はい、可能です。バイブコーディングは、専門知識がなくても自然言語でAIに要件を伝えるだけで開発できる手法として設計されています。ただし、基本的なITリテラシーや、作りたいアプリの分野に関する知識があると、より高品質な開発が可能になります。まさに未経験者こそ、その恩恵を受けられる技術です。
Q2: バイブコーディングで作ったシステムの保守や運用はどうすればいいですか?
AIと対話することで、保守・運用も効率的に行えます。AIが生成するコードは保守性が高いことが多く、問題が発生した場合も「アプリのこの部分でエラーが出る」とAIに伝えれば、修正案を得られます。開発だけでなく、リリース後の運用フェーズでもAIを強力なパートナーとして活用できます。
Q3: バイブコーディングとノーコード・ローコードの違いは何ですか?
主な違いは「自由度」と「指示方法」です。ノーコードは用意された部品をGUIで組み合わせる「レゴブロック」のような手法ですが、バイブコーディングは自然言語の指示でゼロからコードを生成する「粘土」のような手法です。そのため、既存の枠にとらわれない、非常に自由度の高い開発を実現します。
まとめ

この記事では、プログラミング知識ゼロから「バイブコーディング」を始める方法について、その概念から具体的な5つのステップまでを解説しました。
バイブコーディングは、AIとの対話を通じて、誰もがアイデアを形にできる革命的な開発手法です。専門知識の壁はAIが取り払い、あなたの「作りたい」という気持ちを直接サポートしてくれます。
ここで紹介した始め方を参考に、まずは簡単な「ToDoリスト」作りから、新しい時代の創造的な開発体験へと、ぜひ第一歩を踏み出してみてください。