プロ志望届とは?大学からプロ野球を目指す際に
プロ野球選手として指名されるには、事前に「プロ志望届」を提出する必要があります。プロ志望届を提出することではじめて、球団から選手として指名される可能性が出てきます。そのためプロ野球選手を目指す際には、準備の一環としてプロ志望届を提出することを忘れないようにしましょう。
本記事では、プロ志望届の基本や提出によるメリット・デメリットなどを解説します。
プロ志望届とは?
プロ志望届は、プロ野球選手を目指す高校生や大学生にとって、重要な書類の1つです。プロ志望届を提出することは、プロになるための最初のステップとも言えるでしょう。以下では、プロ志望届の基本について解説します。
プロ野球入りを希望するすべての大学生が提出すべき書類
プロ志望届とは、プロ野球選手として活躍したい旨を伝える書類のことです。プロ野球は毎年ドラフト会議を実施し、入団させる新人選手を発表しています。このドラフト会議で選択される選手は、野球をしている全選手ではなく、事前にプロ志望届を出した選手に限られます。
選手の立場からすると、プロ野球選手としてドラフト会議で指名されるために、プロ志望届を提出して自分の意思をアピールする必要があります。大学進学の際に願書を出すのと同じように、プロ野球選手になりたいのならプロ志望届を出すことが求められます。
プロ志望届が導入された背景
プロ志望届は日本高野連(公益財団法人日本高等学校野球連盟)が、2004年に導入した制度です。「高校生の野球部員がプロの球団と交渉を希望したり、入団テストを受けたりする場合には、所属する都道府県の高野連に「プロ野球志望届」を提出する必要がある」という内容です。
本制度の確立以降、プロ野球選手を目指す高校生は、プロ志望届の提出が必須となりました。都道府県の高野連はプロ志望届を受理したあと、日本高野連に報告して内容を精査します。問題がない場合にはプロ志望届を提出した高校生の情報が、日本高野連のホームページに掲載されます。
大学生も、2007年から同じ制度が整えられました。大学生としてプロ野球選手になることを希望する際には、プロ志望届を全日本大学野球連盟に提出することが義務づけられています。提出先が異なるだけで、基本となるルールは高校生も大学生も同じです。
プロ志望届がないとドラフトで指名されない
先の解説通り、事前にプロ志望届を提出していないと、ドラフト会議で指名されません。そのため仮にプロ球団が渇望する能力を持っている学生がいたとしても、本人がプロ志望届を提出していない場合、原則としてドラフトでの指名が不可能となります。
一般的にプロ球団から指名される可能性のある選手に対しては、野球部の部長や監督、そのほか関係者などから、プロ志望届の提出について聞かれることになるでしょう。プロ野球選手を希望するならそのまま提出し、そうでない場合には提出せずに別の道を進むことが考えられます。
プロ志望届の提出状況は確認できる
プロ志望届の提出情報は、日本高野連のホームページにて記載されます。2023年の例を参考にすると、8月24日から受付を開始した、「プロ野球志望届」の提出者一覧は、9月1日の記事をもって受付後、順次掲載すると告知されています。
プロ志望届を提出した選手は、都道府県名・学校名・指名・所属連盟受付日の情報とともに記載されます。そのためプロ志望届がきちんと受理されているかは、日本高野連のホームページで確認が可能です。プロ志望届の受付情報は順次更新されるため、すぐに名前が掲載されないケースもあります。
社会人や硬式野球部以外は提出が不要
プロ志望届は基本的に、高校や大学の硬式野球部に所属している選手が提出するものです。そのため社会人野球をしている人や、硬式野球部に所属せずに野球をしている人は、提出が不要・不可能となっています。仮に社会人の場合には、社会人の野球リーグでその実力を発揮し、スカウトを受ける形でプロ入りを目指します。
もしくは社会人を経て独立リーグに参加して実績を積み、プロ野球への転身を狙う方法があります。いずれにしても硬式野球部に所属していない高校生・大学生は、プロ志望届によるドラフト会議での入団以外の道を検討する必要があるでしょう。
毎年どれくらいのプロ志望届が出されている?
プロ志望届は毎年、300人前後の選手から提出されています。割合は高校生と大学生で半数程度になることが多く、2023年は高校生が139人、大学生が177人の計316人分のプロ志望届が提出されました。このなかから実際にプロ球団から指名されたのは、育成選手も含めて83人でした。
そのためプロ志望届を出した人のなかから、実際にプロ野球選手になれるのは、25%前後と計算できます。これはあくまで2023年の例であるため、実際の確率はその年によって変動するでしょう。
プロ志望届の提出方法
プロ野球選手を目指す大学生は、プロ志望届の提出方法を押さえておく必要があります。プロ志望届の提出は決して複雑なものではないため、事前に準備しておけばスムーズに処理を進められるでしょう。以下では、プロ志望届の提出方法について解説します。
プロ志望届の提出期限
プロ志望届の提出期限は、「当該年度の全国高等学校野球選手権大会の終了から翌日以降、ドラフト開催日の2週間前まで」となっています。例えば2023年は10月26日がドラフト会議の予定日だったため、プロ志望届の提出期限は10月12日と設定されていました。
この期日までに所属する都道府県の高野連に、プロ志望届の提出が必要です。
大学生の倍は4年生の段階で提出する
プロ志望届は、高校生や大学生が一般的に進路を決定する時期に提出します。具体的には高校生であれば3年生、大学生であれば4年生の段階で提出します。その前からプロ野球選手になる意思が固まっていたとしても、実際に提出するのは大学4年生になってからです。
プロ志望届はその年のドラフト会議の対象選手を決めるものであるため、まだ卒業できない生徒が先出しすることはできません。期日に遅れなければ、プロ志望届を提出した順番で何かが変わるわけではないため、焦らずに対応するとよいでしょう。
野球部部長による承認が必要
プロ志望届を出す際には、所属する硬式野球部の部長による承認が必要です。選手個人が自分の意思だけで、プロ志望届を提出できない点には注意しましょう。具体的には野球部の部長にプロ志望であることを伝えたうえで、プロ志望届を1度提出します。
内容を確認してもらってから、承認したことを証明する承認印を書類に押してもらいましょう。この制度は、プロ志望届を冷やかしで提出する人をなくすために設けられたものです。誰でも自由にプロ志望届を提出できる状態だと、プロ野球選手としてドラフト会議で指名される可能性はほとんどない人も、無制限で出せてしまいます。
また、架空の名前を使って提出するといったイタズラも増加することが予想されるため、処理に膨大な時間と労力がかかる恐れがあります。そういった問題をなくすために、野球部の部長から承認を得る制度が設けられているのです。
プロ志望届の必要書類
プロ志望届を提出する際には、いくつかの必要書類の準備も求められます。プロ志望届に関する書類のほか、選手の身元を証明できる身分証明証と、先に解説した部長の承認書が必要です。いずれかの書類が提出時に不足していると、プロ志望届が受理されません。
仮に期限ギリギリだった場合、受理されなかったことが理由となって、提出が間に合わないケースも懸念されるでしょう。そのためプロ志望届を出す際には部長や監督、保護者としっかり内容を確認し、不足が内容に備えましょう。また、万が一受理されなかった場合のことを考慮して、ある程度期限に余裕を持って提出するのがおすすめです。
プロ志望届を提出するメリット
プロ志望届の提出は、プロ野球選手になるための重要なプロセスです。プロ志望届を出すことには多くのメリットがあり、自分の将来を左右することにもつながるでしょう。以下では、プロ志望届を提出することで発生する主なメリットについて解説します。
プロ野球選手になれる可能性が出てくる
プロ志望届の提出によって、プロ野球選手になれる可能性が出てきます。これまで大学野球で結果を残し、スカウトから注目を集めることができている場合、プロ志望届の提出がプロとして活躍するきっかけとなるでしょう。
逆に言えばこれまで輝かしい成果を残していても、プロ志望届を出さなければ、プロ野球選手になれる可能性はなくなってしまいます。プロ野球選手になりたいのなら、必ずプロ志望届を提出するという手順を忘れないようにしましょう。
プロになるための心構えができる
プロ志望届を提出することで、プロ野球選手になる心構えができるというメリットもあります。プロ野球選手になるということは、「ただ好きなだけ野球ができるようになる」といった結果につながるわけではありません。プロとしての責任や重圧に耐えながら、これまで以上に大変な競争に勝ち抜いていく必要があるのです。
そのため生半可な覚悟では、プロ野球選手として才能を開花できない可能性があります。プロ志望届はプロ野球選手として活躍することを自分自身に誓い、心構えをするためのきっかけとして作用します。
決まっている制度というだけでなく、精神的にプロとしての自覚を持てるという意味でも、プロ志望届の提出は重要なプロセスになるでしょう。
周囲に意思表示ができる
プロ志望届を提出することで、周囲に自分がプロ野球選手になることを意思表示できます。プロ野球選手に指名される可能性のある選手は注目度も高いため、周囲から期待の目で見られることも多いです。
そのためいつまでもプロ志望届を出さずにいると、「プロになる気がないのかも」と不安にさせたり、真実ではない噂が流れて実害を被ったりする可能性もあるでしょう。そういったトラブルを防ぐ目的としても、プロ志望届の提出で周囲に明確な意思表示を行い、進路を確定させることが重要です。
プロ志望届を提出するデメリット
プロ志望届の提出時には、デメリットになる部分もあります。事前にどのようなデメリットがあるのかをチェックして、対処できるように備えるのもポイントです。以下では、プロ志望届を提出するデメリットについて解説します。
将来がある程度絞られる
プロ志望届を提出することで、自分の将来がある程度絞られてしまう点は、見方によってはデメリットになり得ます。プロ志望届を提出した時点で、「自分はプロ野球選手になる」という意思を表明した形になります。そのため仮にその後のドラフト会議で指名された場合、そのままプロ野球選手になるのが基本となるでしょう。
しかし、大学生などの多感な時期には、自分の将来について考え直したくなるときもあります。そんな気持ちのときでも、プロ志望届を出していると、後戻りができなくなってしまう点はデメリットになります。
緊張でメンタルに負担がかかる可能性がある
プロ志望届を出すと、本格的にプロ野球選手になるという夢が現実に近づいてきます。その結果日常に緊張感が増し、メンタルに負荷がかかる可能性もあるでしょう。人によってメンタル面が不安定になったり、焦って失敗をしたりと、トラブルの原因になるケースも懸念されます。
少なからず普段の精神状態に影響が出る点は、デメリットの1つになります。
周囲の期待に応えるのが辛くなることも
プロ志望届を提出すると、周囲からの期待がさらに強くなります。ときには外部の応援や声援がプレッシャーになり、気持ちが落ち着かなくなることもあるでしょう。上記と同じように、外部からの要因でメンタルに負荷がかかる点も、プロ志望届を提出する際のデメリットに数えられます。
プロ志望届を出してからやるべきこと
プロ志望届を提出しても、すぐにプロ野球選手に指名されるわけではありません。ドラフト会議までの期間や、そこから入団するまでの時間には、何かしら自分のためになることをしなければならないでしょう。以下では、プロ志望届を出してからやるべきことを解説します。
これまで通り練習を続ける
プロ志望届を出しても、これまでと変わらず野球の練習をし続けることが重要です。プロ野球選手になれることを想定して動く必要があるため、今まで以上に熱を入れて練習に打ち込むことが求められます。今度はプロの舞台を意識してレベルアップを目指し、積極的に行動していくことが重要です。
関連する情報を収集する
プロ志望届の提出後は、今後の活動についての情報を集めておくこともポイントです。プロ野球選手になってから何をするべきなのか、どんなことに備えるべきなのかといった情報を集めて、精神的な準備と物質的な準備を進めておくことが重要となります。
まとめ
プロ野球選手になる際には、プロ志望届の提出が必須です。自分がプロ野球選手として活躍したいという意思を示し、その年のドラフト会議の対象としてもらうためにも、プロ志望届は欠かせない書類となります。この機会にプロ志望届の基本を確認し、プロ野球選手になるための基本ステップを把握しておくのがおすすめです。
大学からプロ野球選手を目指す際には、スポーツ推薦で大学に入学し、練習を重ねていく方法が考えられます。スポーツ推薦の制度を活用すれば、大学受験に必要な時間を練習に当てられるため、少しでもプロに近づけるでしょう。
スポーツ推薦で大学に進学する方法やメリットについても、この機会に確認しておくとよいでしょう。
株式会社吉和の森 代表取締役
青森県八戸市出身。2019年11月、ライフワークとしてデジタル・マーケティングに携わり、人の役に立ちたいたいと思い起業。さまざまな業態・業種の事業案件を手掛けている。コンテンツ立ち上げ後の集客や運用、コンテンツを持っている事業者との「アライアンス業務」、「Webを使った集客」を強みとするウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー、提案型ウェブアナリスト。
著書:日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」(https://amzn.asia/d/4fMhaK8)
株式会社吉和の森:https://yoshikazunomori.com/