AO入試(総合型選抜)とは?試験の内容や推薦入試との違いを解説
大学の入試試験には一般入試、AO入試、指定校推薦、公募推薦の4種類が存在します。
これら4種類のうち、同一視されやすい入試がAO入試、指定校推薦、公募推薦です。
今回は、AO入試を中心に試験の内容や、他の推薦入試との違いを解説します。
目次
AO入試とは
AO(Admissions Office)入試とは、面接と書類の選考により、学生の個性や適正などを見定めて合否を決定する入試試験のことです。
選考方法や受験できる条件は大学ごとに多少の違いはあるものの、私立大学のAO入試の多くには以下の特徴があります。
- 高校からの推薦は不要
- 一次試験は志望動機や入学後の展望をアピールする志望理由書で行われる
- 二次試験は面接試験と小論文が実施される
現在、私立大学は8割以上、国立大学では7割以上の大学がAO入試を導入しており、AO入試を導入する大学は年々増加しています。
AO入試と推薦入試の違い
多くの大学はAO入試で学力試験を行いません。
そのため、推薦入試とよく混同されます。
この章では、AO入試と各推薦入試の違いを解説します。
指定校推薦(学校側の推薦が必要)
大学側が指定校として提携した高校に対して入学枠を用意する代わりに、入学を希望する優秀な生徒の推薦をしてもらう入試形態です。
対象となる優秀な生徒とは、ボランティア活動や部活動などの課外活動における実績と、勉学でよい成績を出してきた生徒のことを指します。
AO入試との大きな違いは、指定校として提携している大学しか選択肢にない点、学校からの推薦が必要という2点です。
また、提携先の高校から推薦された生徒として信頼があるため、特別な理由がない限りほぼ100%合格できることも指定校推薦の特徴です。
特別公募推薦(成績が基準に含まれる)
特別公募推薦とは、勉学の成績を除き、ボランティア活動や部活などの課外活動での実績を重視した入試形態です。
試験内容は大学によって違いがありますが、主に面接と小論文が出題されます。
AO入試との違いは、学校からの推薦が必要な点と、課外活動での成績が評価基準に含まれている点です。
特別公募推薦の試験内容には自分の実績を自分でPRする自己推薦も含まれます。
一般公募推薦(学力テストが実施される)
高校からの推薦と、大学側から出される条件をクリアしていれば、日本中どこの大学にも出願可能な入試形態です。
一般公募推薦では成績が重視されるため、AO入試や他の推薦入試にはない学力テストが実施されます。
この一般公募推薦の特徴は、学力テストの結果次第で不合格になるケースがあることです。
指定校枠の制約がないため、人気のある大学や学部では競争倍率が高くなりがちです。
そのため、他の推薦入試と比較すると、合格率は低い傾向にあります。
2021年度入試からAO入試は総合型選抜へ
2021年度の入試からAO入試は「総合型選抜」と名称を変更していますが、未だに多くの大学がAO入試の名称で試験を実施しています。
総合型選抜もAO入試と同様、志望理由書や調査書などの書類選考と、面接と小論文による試験が基本です。
ただし、従来のAO入試ではなかった以下2点のいずれか1つを必須化しています。
- 小論文やプレゼンテーションなど、各大学が実施する評価方法
- 大学入学共通テスト
これは、AO入試に学力を測定する試験が追加されたことを意味します。
AO入試が広がる背景
大学の入試様式が多様化する背景には、世間に求められる能力が時代に合わせて変化してきたことがあります。
これまでの大学は、設定された目標をいかに効率良く実行できるかという点を重視し、それを測るための試験を実施してきました。
しかし、現代は先行きが不透明な時代となり、これまでの知識量を測る試験では時代に合わなくなったのです。
よって、「自ら課題を見つけて自分には何ができるか」を発見し、同時に発信もできる能力が求められるようになりました。
AO入試が広がる背景には、このような理由があります。
AO入試の時期と流れ
・6月頃 エントリー
大学次第ですが、早ければ6月頃からエントリーが開始されます。
エントリーの時点では、志望理由を記載した簡単な書類の提出やオープンキャンパスへの参加、オープンキャンパスで個別面談を受けるなどの条件を課される可能性があります。
・8月~9月頃 出願(1次試験)
多くの大学は8月〜9月頃に出願しなければなりません。
出願で提出する書類は以下の通りです。
- 調査書
- 志望理由書
・10月~11月頃 2次試験
1次試験に合格すると、10月〜11月頃に2次試験が実施されます。
2次試験の内容はほとんどの大学で以下の通りです。
- 面接
- 小論文
- グループディスカッション
・11月~12月頃 合格発表
AO入試と総合型選抜は年内に合格発表があります。
入試の時期がずれているため、一般入試との併願も可能です。
AO入試の対策方法は?
AO入試の内容は指定校推薦とよく似ていますが、それぞれ評価基準となる対象が違うため、対策はまったく異なります。
指定校推薦は、主に高校時代の実績を対象として評価します。
一方で、AO入試は入学後の展望が主な評価対象です。
よって、学びたい分野がもともと明確で、これまで研究をしてきた人に向いている試験です。
対策としては、志望する分野に興味を持ったきっかけや、今までに研究してきたこと、大学ではどのように取り組んでいきたいかを語れるようにすることが挙げられます。
付け焼刃の知識では小論文や面接で整合性が取れず、失敗する可能性があります。
高校2年生の夏までには志望校や学科などを決めて、しっかりと準備をしなくてはなりません。
併願可能かどうかは募集要項の確認を
総合型選抜はその性質上、専願が基本ですが、私立大学の一部には他の大学との併願を認めている大学もあります。
ただし、同じ大学の他の学部とは併願できない場合があることや、その他にもさまざまな条件があることも多いため、募集要項の確認が大切です。
総合型選抜の合否発表後は一般入試との併願は可能なため、一般入試の対策もしておきましょう。
AO入試や総合型選抜は、大学に入って何を成すかという点に比重を置いた試験です。
小論文や面接のテクニックを学ぶのではなく、大学での学びやアドミッションポリシーについて理解を深めることをおすすめします。
【注意事項】
AO入試から総合型選抜に変更されていますが、AO入試で情報を調べている方も多いため、今回はこのような切り口にしました。
株式会社吉和の森 代表取締役
青森県八戸市出身。2019年11月、ライフワークとしてデジタル・マーケティングに携わり、人の役に立ちたいたいと思い起業。さまざまな業態・業種の事業案件を手掛けている。コンテンツ立ち上げ後の集客や運用、コンテンツを持っている事業者との「アライアンス業務」、「Webを使った集客」を強みとするウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー、提案型ウェブアナリスト。
著書:日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」(https://amzn.asia/d/4fMhaK8)
株式会社吉和の森:https://yoshikazunomori.com/