スポーツ推薦をもらうには?チェックすべきポイントと注意点を徹底解説
スポーツ推薦をもらうには?チェックすべきポイントと注意点を徹底解説
「せっかく部活動でいい成績が残せたし、大学受験に活かしたい」
「スポーツ推薦をもらうにはどのような条件がある?」
受験生の中には、このような悩み・疑問がある方もいるのではないでしょうか。部活動のスポーツで優秀な実績を残していれば、スポーツ推薦で受験できる大学も多数あります。しかし、スポーツ推薦をもらうには条件があり、誰でも受験できるわけではありません。
本記事では、スポーツ推薦をもらうためにチェックすべきポイントについて解説します。注意点や志望理由書の書き方などについても紹介するので、スポーツ推薦での受験を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
そもそもスポーツ推薦とは?
スポーツ推薦とは、高校の部活動などで優秀な成績を修めた学生が受けられる推薦入試です。ここではスポーツ推薦の概要について解説します。
実績のある学生が受ける特別推薦入試
スポーツ推薦は、部活動などで優秀な成績を修めた学生に受験資格が与えられる特別推薦入試です。大学受験の公募推薦には、学力による推薦である「一般公募」とスポーツや文化活動などの成績による推薦である「特別推薦」があり、スポーツ推薦は「特別推薦」の一種となります。
旺文社が2019年に実施した調査では、全国の大学のうち、スポーツ推薦による入試を実施しているのはおよそ37%です。国立大学は19.8%、公立大学は2.2%、私立大学は42.2%という内訳になっており、私立大学のおよそ4割がスポーツ推薦による入試を実施しています。
参考:旺文社調査報告 大学入試における「スポーツ推薦」の実態調査 回答校の約4割で「スポーツ推薦」を実施!
部活動などの成績が評価される
スポーツ推薦では基本的に、入試時点での実力ではなく、これまでの高校生活での実績が評価の対象となります。インターハイで優秀な成績を修めた学生や、都道府県の選抜メンバーに選ばれた学生など、全国の学生の中でもトップクラスの実績を残していないと受験資格を得られません。
部活動だけでなく、学外のチームで優秀な成績を残した場合にも、スポーツ推薦を受けられる可能性があります。たとえば、Jリーグクラブのユースチームに所属して優秀な成績を修めた選手であれば、所属チームの監督などによる推薦を受ける形で推薦入試に臨む事ができるでしょう。
入試時期は9月~12月が一般的
スポーツ推薦の入試は、12月までに合格発表まで終了するのが一般的です。スポーツ推薦は推薦入試の一種なので、一般入試よりも早めに進められます。基本的には、9月頃から徐々に出願がはじまり、10月~11月にかけて選考・試験が行われ、11月下旬から12月にかけて合格発表があります。
もちろん、大学によって入試のスケジュールには違いがあります。志望校のスケジュールは入念にチェックしておかなければなりません。
スポーツ推薦をもらうには?チェックすべき4つのポイント
スポーツ推薦は、誰でも受験できるものではありません。スポーツの実績以外にも、学力などの要素で基準を満たす必要があります。
スポーツ推薦をもらうためにチェックすべきポイントは、以下の4つです。
- 競技での成績
- 学力の評定
- 学校からの推薦
- 入試の内容
競技での成績
スポーツ推薦をもらうためには、競技で優秀な成績を修めていなければなりません。全国大会出場や高校日本代表など、世代トップクラスの成績が求められます。最低でも全国大会出場レベルの実績がないと、スポーツ推薦の受験資格を得ることは難しいでしょう。
たとえば、早稲田大学スポーツ科学部の「総合選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入学試験)」の出願資格として、以下が挙げられます。
「あらゆるスポーツ種目で、高等学校または中等教育学校・高等専門学校等(3年まで)の在学時に全国大会出場等の優秀な競技成績(高校日本代表および同候補を含む)を有する者」
出典:2024年度 総合選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入学試験)入学試験要項|早稲田大学スポーツ科学部
大学によって出願に必要な成績には差があります。高校の顧問と相談しながら、各大学の入試要項をチェックしておきましょう。
学力の評定
スポーツ推薦でも、学力の評定が評価の対象となります。「全体の評定平均値が3.5以上」といった受験資格が課せられる場合が多く、あまりにも学力の成績が悪い場合には受験できません。スポーツ推薦だから、と勉強をおろそかにせず、早めに準備して定期試験対策などにも力を入れる必要があります。
学校からの推薦
スポーツ推薦を受けるには、学校からの推薦を受ける必要があります。よほど大きな問題を起こしていない限り、心配する必要はありませんが、学校生活や素行なども考慮したうえで推薦するか否かが判断されます。出席日数や普段の生活態度にも気を配りましょう。
入試の内容
スポーツ推薦にも試験があるため、入試当日の成績も合否に関わります。スポーツ推薦の入試は主に小論文と面接です。
小論文では、「ドーピング問題」や「AIによる審判の是非」など、スポーツに関するテーマが出題されます。普通推薦や一般入試で実施される小論文に比べると取り組みやすい入試と言えるでしょう。
面接では、以下のような内容を質問されるのが一般的です。
- 志望動機
- 高校での活動内容
- 部活動やスポーツを通じて成長できたこと
- 将来の進路
いずれも、一般入試に比べると高いレベルを要求される試験ではありません。高校の先生に頼んで対策しておけば、突破することは十分に可能です。
スポーツ推薦の注意点
スポーツ推薦で受験する際には、以下の4つのポイントに注意が必要です。
- 入学後の大学生活
- 卒業後の進路
- 専願制の大学
- 退部した場合のリスク
入学後の大学生活
スポーツ推薦で受験する場合、入学後の大学生活も考えて出願しましょう。たとえば、学部の勉強にまったく関心が持てなかったり、授業の難易度が高くてついていけなかったりすると、単位が取得できず卒業が難しくなる恐れもあります。
スポーツ推薦で入学する場合は、やはり大学でも競技を続け、優秀な成績を残せるように努力しなければなりません。しかし、大学に通う限りは勉強にも力を入れる必要があります。スポーツ推薦で入学できればどの大学でも良い、と軽く考えずに、入学後の大学生活についても考えて出願しましょう。
卒業後の進路
卒業後の進路も考えて志望校を決定しましょう。大学卒業後にプロのアスリートや実業団の選手として活躍したいと考えている場合は、十分な実績がある強豪大学への進学を意識する必要があります。
反対に、トレーナーやコーチなどスポーツ関係の職業に就きたい場合や、まったく別の職業に就きたい場合もあるでしょう。入学前に具体的なビジョンを持つのは難しいかもしれませんが、自分の興味・関心や卒業後の進路もふまえて志望校を検討してみてください。
専願制の大学
スポーツ推薦は基本的に専願制となっており、複数の大学に出願できないようになっています。志望校を最終的に一校に絞らなければならないので、慎重に検討を重ねてください。大学によっては併願できることもあるため、入試要項をチェックしておきましょう。
退部した場合のリスク
スポーツ推薦で入学した後で退部した場合のリスクには注意が必要です。大学の部活動を退部してしまうと、高校の信用を落とすことになってしまったり、就職活動で不利になるリスクがあります。
ケガなどのために競技を続けられず、退部せざるを得ない可能性もあります。きちんと理由を説明できなければ就職活動などで不利に働く恐れもあるので、自分の強みや就職活動の軸を考えなければなりません。
スポーツ推薦をもらうための志望理由書のポイント
スポーツ推薦を受ける際は志望理由書を書かなければならない場合が多く、もちろん評価の対象になります。ここでは、スポーツ推薦をもらうための志望理由書のポイントを4つ紹介します。
- 大学の求める学生像を把握する
- 高校時代の経験をふまえて志望理由をつくる
- 入学後・卒業後の進路を見据える
- 具体的なエピソードを入れる
大学の求める学生像を把握する
志望理由書を書く際は、大学の求める学生像を把握し、自身が当てはまっていることをアピールしたいところです。大学・学部が求める学生像は、公式HPや入試要項のアドミッション・ポリシーから確認できます。
高校時代の経験をふまえて志望理由をつくる
高校時代の経験をふまえて志望理由を考えましょう。高校時代の実績や成長をアピールすることはもちろん大切ですが、その経験を大学の志望理由につなげる必要もあります。
入学後・卒業後の進路を見据える
入学後・卒業後の進路を見据えて志望理由を考えましょう。スポーツ推薦では、高校時代までの実績だけでなく、大学でどのような活躍ができるか、大学卒業後にどのようなキャリアを描いているのかも大切なポイントです。
入学後はトレーニングを重ねてさらに実績を伸ばしたい、大学卒業後はトレーナーやコーチとして活躍することを視野に入れて頑張りたい、など、入学後・卒業後のプランを考えて志望理由書を作成しましょう。
具体的なエピソードを入れる
具体的なエピソードを入れながら志望理由を考えましょう。自分の経験を盛り込むのはもちろん、近年のスポーツ業界のニュースなどの時事問題にも触れるなど、具体的にアプローチすることが大切です。誰でも書けるような志望理由書や、どの大学にも当てはまるような志望理由書にならないように、注意しましょう。具体的なエピソードをふまえ、自分ならではの志望理由書を作成してください。
【スポーツ推薦】サッカー推薦の具体的な事例
サッカー推薦で大学に進学することは、多くの高校生にとって夢のようなチャンスです。しかし、その一方でサッカーだけでなく、学業や将来のキャリアについてもしっかり考える必要があります。この記事では、サッカー推薦で大学に進む前に考慮すべきポイントを詳しく解説します。
サッカー推薦のメリット
サッカー推薦には、多くのメリットがあります。以下にその主なポイントを挙げます。
学費の免除や減額
サッカー推薦を受けることで、学費の一部または全額が免除される場合があります。これにより、経済的な負担を軽減することができます。特に私立大学などでは学費が高額になるため、経済的な支援は大きな魅力です。
高いレベルのトレーニング環境
大学のサッカーチームに所属することで、高いレベルのトレーニングを受けることができます。専任のコーチや充実した施設を利用できるため、技術を向上させる絶好の機会となります。また、全国大会やリーグ戦に参加することで、他の強豪校との試合経験も積むことができます。
将来のキャリアチャンス
大学でのサッカー経験は、将来のキャリアにも大きな影響を与えます。プロを目指す場合はもちろん、サッカー関連の仕事に就く際にも有利になるでしょう。例えば、コーチやトレーナー、スポーツマネジメントの分野でのキャリアにも繋がります。
サッカー推薦のデメリット
一方で、サッカー推薦にはデメリットも存在します。以下にその主な点を挙げます。
学業との両立の難しさ
サッカーのトレーニングや試合が忙しくなると、学業との両立が難しくなることがあります。特に、試験期間中や課題の締め切りが迫っている時期には注意が必要です。時間管理や優先順位の設定が重要となります。
ケガのリスク
サッカーは接触の多いスポーツであり、ケガのリスクが常に伴います。大きなケガをすると、サッカーだけでなく学業や将来のキャリアにも影響を及ぼす可能性があります。ケガを予防するためのトレーニングやケアが重要です。
将来の不確実性
サッカーでの成功が保証されているわけではありません。プロになれなかった場合や、引退後のキャリアをどうするかについても考えておく必要があります。多角的なキャリアプランを立てることが求められます。
サッカー推薦での大学選び
サッカー推薦で大学を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
大学のレベルと実績
大学のサッカーチームのレベルや実績を確認しましょう。強豪校であればあるほど、トレーニング環境や試合の機会が充実しています。また、過去の卒業生がどのような進路を辿ったかを調査することも参考になります。
学部や学科の充実度
サッカーだけでなく、学業にも力を入れたい場合は、希望する学部や学科が充実している大学を選ぶことが重要です。将来のキャリアに直結する学問を学べる環境が整っているかを確認しましょう。例えば、スポーツ科学や体育学、経営学などが関連する学部となります。
サポート体制
大学がどのようなサポート体制を提供しているかも重要です。例えば、学業との両立を支援するためのアドバイザーがいるか、トレーニングや試合のためのスケジュール調整がどれだけ柔軟に行われているかを確認しましょう。また、ケガをした場合のリハビリテーション施設や医療サポートも重要です。
サッカー推薦での大学生活
大学に進学した後の生活についても考えておくことが重要です。
トレーニングと試合
大学のサッカーチームに所属すると、定期的なトレーニングと試合が行われます。これにしっかりと取り組むことで、技術を向上させることができますが、一方で学業との両立が課題となります。トレーニングの時間や試合の日程を事前に把握し、計画的に学業を進めることが必要です。
学業の管理
学業も疎かにせず、しっかりと取り組むことが大切です。特に、試験期間中や課題の締め切りが重なる時期には計画的に勉強を進めることが求められます。学業とサッカーのバランスを取るために、スケジュール管理のスキルが重要です。
人間関係の構築
大学生活では、サッカーチームのメンバーだけでなく、クラスメートや教授とも良好な関係を築くことが重要です。これにより、学業やサッカーに関するアドバイスを受けやすくなります。また、幅広い人間関係を築くことで、将来のキャリアにおいても有益なネットワークを形成することができます。
サッカー推薦と将来のキャリアについて
サッカー推薦で大学に進む際には、将来のキャリアについてもしっかりと考えておくことが重要です。
プロサッカー選手を目指す
プロサッカー選手を目指す場合は、大学でのトレーニングや試合を通じて実力を磨き、プロのスカウトにアピールすることが求められます。また、エージェントと契約し、プロとしてのキャリアをサポートしてもらうことも重要です。さらに、プロとして成功するためには、メンタル面の強化も必要です。
サッカー関連の仕事に就く
プロ選手になれなかった場合でも、サッカー関連の仕事に就く道があります。例えば、コーチやトレーナー、サッカークラブのスタッフなどです。大学での学びを活かして、サッカー業界でのキャリアを築くことができます。また、スポーツジャーナリストやスポーツビジネスの分野でも活躍の場があります。
他の職業に進む
サッカー以外の職業に進む場合も考えておく必要があります。大学で学んだ知識やスキルを活かして、ビジネスや教育、医療など様々な分野で活躍することができます。幅広いキャリアプランを持つことで、将来の選択肢を広げることができます。
サッカー推薦を目指す高校生へのアドバイス
最後に、サッカー推薦を目指す高校生へのアドバイスをいくつか紹介します。
自己分析を行う
自分自身の強みや弱みをしっかりと把握しましょう。これにより、適切な大学やサッカーチームを選ぶことができます。自己分析を通じて、自分の目標や志向を明確にすることが大切です。
情報収集を徹底する
大学やサッカーチームの情報を徹底的に収集しましょう。インターネットやオープンキャンパス、OB・OGの話を参考にすることが重要です。また、大学のカリキュラムやサポート体制についても詳しく調べることが必要です。
学業とサッカーのバランスを保つ
学業とサッカーの両立は非常に重要です。どちらか一方に偏らないよう、計画的に取り組むことを心掛けましょう。時間管理や優先順位の設定が成功の鍵です。
スポーツ推薦についてのよくある質問
最後に、スポーツ推薦についてのよくある質問を紹介します。
スポーツ推薦に落ちることはありますか?
スポーツ推薦に落ちることもあります。基本的には、スポーツ推薦に落ちることはあまりありません。スポーツ推薦の倍率は一般入試に比べるとかなり低く、およそ1倍~1.5倍程度に落ち着きます。
出願資格に必要な実績のレベルが高いのはもちろん、「事前調整」があるため、倍率は低めになります。スポーツ推薦の「事前調整」とは、誰がどの高校から推薦されるのかを事前に決めることです。各大学の指導者同士の調整が行われるため、選考前にほぼ合格が決まっているという状況で出願できるのです。
志望者が多く落ちることもあるため、面接や小論文が原因で不合格にならないように注意が必要です。
マイナーな競技でもスポーツ推薦をもらえますか?
マイナーな競技でもスポーツ推薦をもらうことは可能です。野球やサッカーなど、メジャーなスポーツの方がスポーツ推薦をもらえる大学の選択肢は増えますが、マイナーな競技でも実績を評価してくれる大学はあります。各大学の入試要項をチェックし、自分の実績で受験できるかどうか、確認しておきましょう。
まとめ
本記事では、大学のスポーツ推薦をもらうためのポイントについて解説しました。大学のスポーツ推薦をもらうには、全国大会レベルの成績はもちろん、最低限の学力や素行の評価が求められます。スポーツだけしていれば良い、と考えず、日々の学校生活をおろそかにしないことも大切です。
スポーツ推薦で受験する場合は、入学後・卒業後のビジョンを描き、自身の経験や興味・関心をふまえて志望校を決め、志望理由書を作成しましょう。スポーツ推薦だから楽に受験できる、と簡単に考えずに、きちんと志望校を検討し、入試に向けて準備しておかなければなりません。
株式会社吉和の森 代表取締役
青森県八戸市出身。2019年11月、ライフワークとしてデジタル・マーケティングに携わり、人の役に立ちたいたいと思い起業。さまざまな業態・業種の事業案件を手掛けている。コンテンツ立ち上げ後の集客や運用、コンテンツを持っている事業者との「アライアンス業務」、「Webを使った集客」を強みとするウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー、提案型ウェブアナリスト。
著書:日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」(https://amzn.asia/d/4fMhaK8)
株式会社吉和の森:https://yoshikazunomori.com/