不動産クラウドファンディングに興味はあるけど、仕組みもわからないし、はじめるには勇気がでない…といった方も多いのではないでしょうか。
不動産クラウドファンディングとは「資金の用途が不動産の運用に特化したもの」のことを指しています。
とはいえ、簡単に説明されてもしっくりきていない方もいるはずです。
本記事では、不動産クラウドファンディングがいったいどのような仕組みで成り立っていて、利益を獲得できるのかについて紹介しています。
また、不動産クラウドファンディングで得られるメリットやデメリット、不動産投資に向いている人に共通している特徴も併せて解説しています。
不動産クラウドファンディングとは?仕組みを解説
不動産クラウドファンディングとは、不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達し、不動産に投資をすることです。
複数の方から集められた資金は賃貸物件や商業ビル、リゾート開発などに投資をすることができるのです。
投資は少額から可能で、スマートフォン1つで手軽に始められることから、注目を集めています。
不動産クラウドファンディングは、不特定多数の方々が事業者に投資し、集まった資金で事業者が物件を購入します。
不動産を運営したり売却したりするなどして、得た利益を投資者で分配する仕組みです。
投資をした後は、基本的には”待つ”のみで、主な手続きは運営会社によって行われます。
購入した物件の築年数や住所、立地などの情報をインターネットから確認しながら投資を行うため、不安な方は物件情報を確認することも可能です。
不動産クラウドファンディングと他の不動産投資との違いを比較
不動産クラウドファンディングがどういったものを指していて、どのような仕組みで成り立っているのか、理解を深めることができましたか?
不動産投資には、不動産クラウドファンディングの他に4種類の方法があります。
- REIT(リート)
- 現物不動産投資
- ソーシャルレンディング
- 不動産小口化商品
ここからは、その他の不動産投資の方法と不動産投資クラウドファンディングの違いについて解説していきます。
REIT(リート)との違い
アメリカで生まれた金融商品であるREITは「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったものです。
日本では、J-REITと呼ばれています。REITは、投資家から集めた資金を元手に、専門家である投資法人がホテルやオフィスビルなど複数の不動産投資を行うものです。
そこから得られた収益を投資家に分配し利益を獲得できる仕組みです。REITの利益分配時期は、年に1〜2回と定められています。
不動産クラウドファンディングとは違って、利益を得られる期間が明確なのがメリットだといえるでしょう。
ただ、市場の影響を受けやすく、価格の上下動があるのもREITのデメリットだといわれています。
投資をする前には、きちんとメリット・デメリットを把握することが重要です。
現物不動産投資との違い
現物不動産投資は、不動産クラウドファンディングとは異なり、自分自身で物件を購入して賃料収入を得る方法です。
利益が分配される不動産クラウドファンディングとは違い、全ての利益が自分の収入となるのは大きなメリットだといえるでしょう。
ただ現物不動産投資は、マンションの一棟購入、区分マンションの購入などいずれも大きな投資金額が必要となるのがデメリットです。
また多くの場合、管理・運営面は専門の会社に委託することが可能ですが、経営の責任はすべて自分にあります。
万が一、購入したマンションが空室続きになると、そこから収入を得ることは不可能です。
資金面だけでなく、不動産経営のノウハウも同時に必要になると考えられます。
ソーシャルレンディングとの違い
仲介企業を介して、希望する企業に投資をするのがソーシャルレンディングという方法です。
不動産クラウドファンディングとの大きな違いは、投資をする先です。
物件に投資をする不動産クラウドファンディングとは違い、ソーシャルレンディングは、企業に投資を行います。
ソーシャルレンディングは、価格変動のリスクを抑えられるのが大きなメリットの1つです。
しかし、万が一企業が倒産した場合に元金の保証がないのはもちろん、貸し倒れになる可能性もあります。
少額不動産投資との違い
不特定多数の方と、1つの物件に投資をするのではなく実際に不動産のオーナーの小口化されている権利を獲得できるのが不動産小口化商品という投資の方法です。
不動産小口化商品の最大の魅力は、一般の投資家では買えないような高額の物件も、資金に応じた価格で購入できることです。
権利は小口化されているため、複数の方と権利を共有しています。物件から生まれた収益は、投資をしている方たちと分配するあたりは不動産クラウドファンディングと似ているかもしれません。
不動産クラウドファンディングと異なる点は”不動産の権利も獲得できる”という点です。
不動産のクラウドファンディングに比べて将来を見据えた投資ともいえるでしょう。
不動産クラウドファンディングの利回りはどれくらい?
これまで、不動産クラウドファンディングの基礎知識や、その他の不動産投資との違いについて紹介してきました。
そこで多くの方が気になっているのは、実際に不動産クラウドファンディングをスタートした場合に、どれくらいの利回り(分配率)があるのか?ということではないでしょうか。
不動産クラウドファンディングの利回り(分配率)は、平均で3〜5%程度だといわれています。
もちろん、利用するサービスや投資するファンドによっても異なりますが、3〜5%を1つの目安に検討するといいでしょう。
不動産クラウドファンディングに限らず、投資の利回りは3種類あります。
- 予定利回り(想定・期待利回り)
- 表面利回り
- 実質利回り
出資者に対してどれくらい分配されるのか、予定されているものが予定利回りといいます。
投資した金額に対して、1年間でどれくらいの収益が見込めるか計算されたものが表面利回りです。
投資の世界では、一番多く耳にするのが表面利回りという言葉ではないでしょうか。
最後に実質利回りですが、投資した金額以外にも発生する諸経費や維持費を含めて、1年間で得られる収入を計算した割合のことを指します。
物件の維持費や管理費込みで出資する不動産クラウドファンディングでは、実質利回りを気にする必要はほとんどないでしょう。
利回りはあくまでも目安であって、確実に見込める収益ではないことを理解しておくことが大切です。
不動産クラウドファンディングで得られる5つのメリット
不動産クラウドファンディングの基礎知識が理解できたところで、不動産クラウドファンディングで得られるメリットについて解説していきましょう。
- 多額の投資費用を用意する必要がない
- 投資家は何もする必要がない
- 個人ではできないものにも投資が可能
- 利回りが比較的安定している
- 社会貢献につながる投資が可能
上記の5つが、不動産クラウドファンディングで得られる主なメリットだといわれています。
多額の投資費用を用意する必要がない
不動産クラウドファンディングのほとんどは、最低1万円からの投資が可能です。
少額であれば、分配率も少なくなってしまいますが、投資初心者の方でも気軽に始められるのがメリットの1つです。
また、少額での投資が可能なため、複数の不動産に投資もできます。もちろん投資の金額は上げていくことができるため、不動産クラウドファンディングのコツを掴みながら、投資金額を少しずつ上乗せしていくのもおすすめです。
投資家は何もする必要がない
投資をする物件を選択し、実際に投資をしてからは、投資家はほとんどなにもすることがありません。
なぜなら他の投資とは違って、不動産クラウドファンディングでは、間に御者が入るからです。
投資をした後は、運営して生まれた利益の分配も待つだけでいいので、知識がなくても始めやすい投資方法だといえるでしょう。
個人ではできないものにも投資が可能
病院やホテル、大型商業施設など、個人では投資できないものにも投資できるのも不動産クラウドファンディングの大きなメリットです。
一般的に、病院やホテルへの投資をするためには膨大な費用がかかるため個人で投資をする方はほとんどいません。
しかし不特定多数の方々と投資をする不動産クラウドファンディングなら、難しい手続きや、膨大な費用を用意することなく投資が可能となります。
利回りが比較的安定している
不動産クラウドファンディングは、他の投資方法に比べて利回りが安定しているのも魅力だといわれています。
なぜなら、不動産は株式などの金融商品とは異なり、市況の影響を受けにくいからです。
市況の影響を受けにくいことで、利回りは比較的安定しています。
元金割れのリスクが高かったり、利回りが安定していなかったりすることから、投資を始められなかった方も多いのではないでしょうか。
利回りが安定している不動産クラウドファンディングなら、リスクを軽減しながら、投資ができそうですよね。
また、不特定多数の方々と投資を行う不動産クラウドファンディングであれば、万が一の時でもリスクを分散させられるのもメリットだといえます。
社会貢献につながる投資が可能
不動産クラウドファンディングの中には、地域創生や再生可能エネルギーなど、社会貢献につながる投資先もあります。
自分で社会貢献をしたいと思っても、なかなか実現できないことも多いはず。しかし不動産クラウドファンディングであれば、少額の投資でも、ESG投資にかかわることが可能となります。
社会貢献をしながら、収益を生むこともできる不動産クラウドファンディングは、一石二鳥だといえます。
不動産クラウドファンディングの3つのデメリット
不動産クラウドファンディングのメリットについて紹介しましたが、もちろんメリットだけではありません。
メリットがあればデメリットがあるのも事実です。
- 収益が減り元金割れのリスクがある
- 投資はすべて自己資金で行う必要がある
- 途中解約には条件が設定されている
上記3つが不動産クラウドファンディングの主なデメリットだといわれています。
しかし、デメリットは事前にしっておくことでカバーが可能となります。
それでは不動産クラウドファンディングのデメリットについて解説していきましょう。
収益が減り元金割れのリスクがある
収益が減り元金割れのリスクがあるのは、不動産クラウドファンディングの一番のデメリットだといえるでしょう。
これまで、利回りは比較的安定していて、初心者向けの投資方法だと紹介してきました。
しかし、いくら利回りが安定しているからといって、収益が減る可能性がゼロというわけではないのです。
比較的安定している投資方法であるのは事実ですが、不動産相場が下落すると家賃収入が下がって、収益が減る可能性も否定はできません。
収益が減ることで、分配率が下がり元金の一部、または全額返金されないリスクがあることは理解しておくことが重要です。
投資はすべて自己資金で行う必要がある
投資をするために、融資を利用することはできません。不動産クラウドファンディングのみに限らず、投資をするなら、全て自己資金で行う必要があります。
生活資金もしっかり確保した上で投資をしなければなりません。
途中解約には条件が設定されている
基本的に、一度投資をはじめると途中で解約することはできません。なぜなら、運用期間があらかじめ設定されているからです。流動性が低いこともデメリットだといえるでしょう。
中には途中解約ができる運営会社・ファンドもありますが、途中解約には条件があり、元金が保証されない可能性が高いです。
不動産クラウドファンディングが向いている人の3つの特徴
不動産クラウドファンディングのメリット・デメリットについての理解を深められたところで、ここからは不動産クラウドファンディングが向いている人に共通している特徴を解説していきましょう。
- 少ない金額で不動産投資をスタートさせたい人
- 運用するための手間と時間が作れない忙しい人
- 自分で詳細に調査し、投資不動産を見極めたい人
上記の特徴に当てはまる方は、不動産クラウドファンディングに向いているといわれています。
その理由はなぜなのか?次の見出しで詳しく解説していきます。
少ない金額で投資をスタートさせたい人
投資をしたいけど、少ない金額で投資をしたい人に不動産クラウドファンディングはおすすめです。
なぜなら、不動産クラウドファンディングは、最低1万円から投資をすることができるからです。少額であれば、分配率が少なくなりますが「いきなり多額を投資に回すのは不安…」という方には向いています。
運用するための手間と時間が作れない忙しい人
不動産クラウドファンディングで投資をしてからは、運用は管理会社が全て行うため、手間と時間を作れない忙しい方に向いている投資の方法です。
運用をする楽しさを味わうことはできませんが、投資だけしておいて、利益を獲得したい方にはピッタリの投資方法です。
自分で詳細に調査してから投資不動産を見極めたい人
不動産クラウドファンディングは、自分で納得した投資先を調査したいと思っている方にもおすすめです。
不動産クラウドファンディングでは、投資をしてからの手間を省くことはできますが、投資をする前に投資不動産を自分で調査することは可能です。
投資前、不動産をしっかりと見極め少額から楽しみたいと思われる方に向いているでしょう。
不動産投資クラウドファンディング運営会社の失敗しない選び方
不動産クラウドファンディングに向いている人の特徴に自分が当てはまっていれば、自分にもできそうな気がしてきますよね。
不動産クラウドファンディングは、比較的初心者でもトライしやすい投資方法です。しかし、しっかりと利益を獲得するためには、運営会社をしっかりと見極めることが重要です。
- 運営会社自体の規模が大きく、信頼性が高いか
- 取り扱っている物件はどれくらいあるのか
- 入居率の高い物件を取り扱っているか
- 自社で開発した物件を取り扱っているか
上記4つのポイントは、運営会社を選ぶ際にチェックしたいポイントです。
運営会社の規模と信頼性の高さを確認する
損をしないためには、信頼性が高い運営会社を選択することが最も重要なポイントだといえるでしょう。
信頼性を判断するポイントは3つあります。まず1つ目は、運用実績がどれくらいあるのかをチェックすることです。
2つ目は大手の企業からの出資を受けているか?をチェックしましょう。
最後のポイントは、運用会社の規模です。運用会社の規模が大きく、大手の企業からの出資が多いということは、それだけ信頼性の高い運用会社だと判断することができます。
運用会社の規模が大きいということは倒産が理由での元金割れのリスクも軽減できます。
取り扱っている物件数を確認する
運用会社がどれくらいの物件を取り扱っているのかもチェックしましょう。
取り扱っている物件が多ければ多いほど、投資先の選択肢の幅が広がるからです。
初めのうちは、選択肢が多いと投資先に迷ってしまうかもしれません。しかし、選択肢が多いからこそ、どの物件がより利益を生みやすいのか判断しやすくなるのです。
入居率の高い物件を取り扱っているかを確認する
入居率の高い物件を取り扱っているのかについてもチェックが必要です。
マンションやアパートへ投資をする場合に、空室が多ければ利益を生むことができなくなるからです。
空室が多く利益を生むことができなければ、その分分配率も少なくなってしまいます。
インターネットなどで、空室状況を把握することはできるので、事前に確認しておきましょう。
自社で開発した物件を取り扱っているかを確認する
他社が開発した物件よりも、自社が開発した物件と取り扱っている方が運営会社としてはおすすめです。
なぜなら、自社で開発した物件であればどのように利益を獲得するのか?がすでに明確になっているからです。
資産価値が下がらないと確信しているからこそ、建築されていると考えられます。
ただ、自社が開発した物件を取り扱っている運用会社は少ないのが現実です。しかし、運用している会社が少ない分、選択肢を絞れるのはメリットだといえるでしょう。
不動産クラウドファンディング仕組みについてよくある質問
最後に、不動産クラウドファンディングの仕組みについて、よくある質問をまとめてみました。ぜひ、参考にしてみてください。
不動産クラウドファンディングで確定申告は必要は必要ですか?
不動産クラウドファンディングで得られた分配金は、所得税法上は雑所得に分類されます。
必ず確定申告が必要というわけではありませんが、以下の分類に当てはまる方は、不動産クラウドファンディングで得られた分配金の確定申告が必要です。
- 雑所得が20万円を超える場合
- 課税所得金額が694万円以下の場合
- 元々確定申告をする必要がある場合(給与所得が2,000万円以上の会社員など)
勤務先で年末調整を受けている会社員の方で、不動産クラウドファンディングの分配金を含めて給与所得以外の所得が年20万円以下であれば確定申告は不要とされています。
不動産クラウドファンディングの分配金からは所得税等が源泉徴収されていていれば、確定申告を行うことで、源泉徴収税額の一部が還付されることもあります。
詳しくは、所轄税務署または税理士などの専門家にご確認ください。
不動産クラウドファンディングが儲からない理由はなんですか?
今回の記事で紹介したように、元本の保証がされていないリスクや短期間で収益が見込めないことから、不動産クラウドファンディングは儲からないといわれているのは事実です。
しかし、不動産クラウドファンディングも他の投資方法と同じように、きちんとリスクをしった上で、管理を行えば収益を上げることは可能です。
投資先物件について事前にしっかりと検討することで、リスクを軽減し利益を得やすくなるでしょう。
不動産クラウドファンディング仕組みまとめ
不動産クラウドファンディングは、投資に対する知識がない方や、投資に回せる予算をあまり確保できない方におすすめの投資手法です。
元金の保証がされていないリスクがありますが、手間をかけることなく利益を待っているだけでいいのは魅力に感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事を参考に不動産クラウドファンディングの仕組みについて理解を深めていただけますと幸いです。