不動産投資クラウドファンディングとREITは、どちらも不動産投資の一種で少額投資ができる金融商品です。しかし、不動産投資クラウドファンディングとREITには、法律や仕組み、利回り、リスクなど、さまざまな違いがあります。両者の違いを簡単にまとめた表が下記です。
不動産投資クラウドファンディング | REIT | |
法律 | 不動産特定共同事業法 | 投資信託及び投資法人に関する法律 |
仕組み | 不動産運営を手掛ける事業者が提案するクラウドファンディングに参加する | 投資法人が提供する商品に投資する |
利回り | 2〜8% | 3〜5% |
安定性 | ある | ない |
節税 | 優遇措置対象外 | 優遇措置が受けられる |
リスク | 元本割れリスク | 元本割れリスク、価格変動リスク |
市場規模 | 数千万円~数百億円 | 10兆円 |
裁量権 | あり | なし |
この記事では、不動産投資クラウドファンディングとREITの違いについて徹底解説します。
【概要】不動産投資クラウドファンディング・REITの違い
不動産投資クラウドファンディングとREITには複数の違いがあります。ここからは、法律と仕組みの面から両者の違いを詳しく見ていきましょう。
法律|不動産特定共同事業法・投資信託及び投資法人に関する法律
- 不動産投資クラウドファンディング:不動産特定共同事業法
- REIT:投資信託及び投資法人に関する法律
不動産投資クラウドファンディングとREITには、法律に違いがあります。
まず、不動産投資クラウドファンディングは、「不動産特定共同事業法」に該当する不動産投資です。
不動産特定共同事業法とは、複数の投資家から募った出資をもとに不動産を取得・運用し、得られた収益を投資家へ配当する事業に関する仕組みを取り決めた法律です。この法律は1995年の施行以降、数度にわたって改正され、2017年にはクラウドファンディングを可能とする改正が行われました。これにより、電子取引の許可を得た事業者は、インターネット上だけでサービスが完結する不動産投資クラウドファンディングサービスを提供できるようになりました。
一方で、REITは「投資信託及び投資法人に関する法律(投資法)」に該当する不動産投資です。投資信託及び投資法人に関する事業者が投資家からの資金をもとに不動産に投資して運用し、運用によって得られた利益を投資家に分配する制度を定めた法律です。
このように、不動産投資クラウドファンディングは不動産特定共同事業法であるのことに対して、REITは投資信託及び投資法人に関する法律という違いがあります。
それぞれの仕組み|委託事業者が異なる
- 不動産投資クラウドファンディング:不動産運営を手掛ける事業者
- REIT:投資法人
委託事業者にも違いがあります。
まず、不動産投資クラウドファンディングの委託事業者は不動産運営を手掛ける事業者です。
不動産運営を手掛ける事業者が、インターネット上でクラウドファンディングを募って投資し、投資した不動産を管理しながらインカムゲインやキャピタルゲインを配当します。
一方で、REITの委託事業者は投資法人です。
つまり、REITは不動産に投資するのではなく、投資法人が保有している商品に投資する仕組みです。そのため、投資方針や計画に同意できなければ投資できません。
【メリット・デメリットを比較】不動産投資クラウドファンディング・REITの違い
不動産投資クラウドファンディングとREITのメリットとデメリットには、それぞれ違いがあります。ここからは、複数のメリットとデメリットを比較しながら、不動産投資クラウドファンディングとREITの違いを解説します。
①利回りの高さ|REITのほうが高い
- 不動産投資クラウドファンディング:2〜8%
- REIT:3〜5%
まず、不動産投資で利益を多く得るために重要となる利回りは、REITの方が高い傾向にあります。
REITの方が利回りが高い理由は、REITは海外の不動産にも投資できるためです。海外の不動産にも投資できるということは、投資できる不動産の幅が広がり、非常に高い利回りの不動産に出会える確立も高まるということです。そのため、REITの方が利回りが高い傾向にあります。
ただし、不動産投資クラウドファンディングの利回りにも幅があるため、REITよりも利回りが高い案件も存在します。
また、投資期間中に解約できないことがほとんどである不動産投資クラウドファンディングと違い、REITはリアルタイムで売買できます。そのため、市場の動きを読むことで大きな利益を出すことも可能です。
②収益の安定性|不動産投資クラウドファンディングのほうが高い
- 不動産投資クラウドファンディング:比較的安定している
- REIT:価格変動がある
収益の安定性で比較すると、不動産投資クラウドファンディングの方が安定しているといえます。
これは、比較対象であるREITが株と近い性質を持つ金融商品であり、価格変動リスクが大きいことが原因です。つまり、株式投資の株価が変動するように、REITの商品も価格が変動します。そのため、収益の安定性は低めです。
③節税効果|REITのほうが高い
- 不動産投資クラウドファンディング:雑所得
- REIT:配当所得
節税効果で比較すると、配当所得に該当するREITの方が節税できます。
投資で得た利益を受け取る際には税金がかかります。不動産投資クラウドファンディングでの利益は雑所得となり、税制上の優遇措置はありません。
一方で、REITは配当所得になるため税制上の優遇措置の対象となり、一定の金額が控除されます。
④リスク|不動産投資クラウドファンディングのほうが低い
- 不動産投資クラウドファンディング:元本割れリスク
- REIT:元本割れリスク、価格変動リスク
不動産投資クラウドファンディングもREITも投資であることから、どちらにもリスクはあります。しかし、全体のリスクで比較するとREITよりも少額で投資でき、安定性のある不動産投資クラウドファンディングの方が低いといえます。
リスクが大きいと、その分損をする確率が高くなります。そのため、なるべく損失を出さずに安定した利益を狙いたい場合は、REITよりも不動産投資クラウドファンディングの方が適しています。
h3:⑤市場規模|REITのほうが大きい
- 不動産投資クラウドファンディング:数千万円~数百億円
- REIT:10兆円
上記からも分かる通り、市場規模で比較するとREITの方が大きいといえます。これは、不動産投資クラウドファンディングはまだまだ登場したばかりの投資手法であり、数が少ないことが原因です。
現時点では、不動産投資クラウドファンディングとREITの市場規模には大きな差があります。しかし、不動産投資クラウドファンディングの市場規模は徐々に拡大しており、今後も拡大することが予想されます。
出典:国土交通省「(1)不動産投資市場の現状と 最近の動きについて」
⑥裁量権|不動産投資クラウドファンディングのほうが高い
- 不動産投資クラウドファンディング:自分で投資先を選べる
- REIT:業者が投資先を決める
裁量権で比較すると、不動産投資クラウドファンディングの方が高いといえます。これは、不動産投資クラウドファンディングは自由に投資先を選べることに対し、REITは自由に投資先を選べないことが原因です。
REITは投資信託です。投資先は事業者が決めるため、自分の好きな不動産に投資することはできません。
まとめ
不動産投資クラウドファンディングとREITはどちらも不動産投資ですが、その仕組みからさまざまな違いがあります。それぞれの特徴を正しく把握し、自分に合った投資方法を見つけましょう。