「不動産クラウドファンディングの分配金はどの所得に分類されますか?」
「不動産クラウドファンディングにどのような節税対策がありますか?」
「不動産クラウドファンディングで必要な確定申告のフローを知りたい」
このような疑問や悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
近年、不動産投資の1つの手法として「不動産クラウドファンディング」が注目を集めています。
しかし、不動産クラウドファンディングが注目されて間もないため、どのような場合に税金がかかり確定申告が必要なのかなど疑問に感じている人も多いでしょう。
そこで今回は、不動産クラウドファンディングの基礎的な内容から、不動産クラウドファンディングにかかる税金や確定申告の必要性を解説します。
この記事を最後まで読むと、税金の理解を深め、適切に還付金を受け取って余分な税金を払う恐れがなくなるでしょう。
不動産クラウドファンディングの利用を検討している人はぜひ参考にしてください。
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不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金
少額から投資できることから手軽に始められると注目を集めている不動産クラウドファンディングですが、投資家に還元される収益に対する税金は気になる部分だと思います。
不動産クラウドファンディングとはどのようなものであり、どの所得に分類されるのかなど基礎的な部分から解説していきます。
不動産クラウドファンディングとは?
不動産クラウドファンディングとは、不動産投資を目的に複数の投資家から共同出資してもらうことで資金調達を行うクラウドファンディングです。
不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法に基づいて運営される比較的新しい不動産投資手法です。
一般的なクラウドファンディングと同様、投資家はインターネットを通じて不動産を対象とする事業に出資し、その不動産を賃貸・取得することで発生する賃貸料や不動産売買益を分配金として投資家に還元します。
従来の現物不動産投資の場合、マンション一棟買いのように、1つの不動産をすべて購入する必要がありました。
しかし、不動産クラウドファンディングの場合、対象となる物件をクラウドファンディングに出資した投資家が共同で所有します。
「不動産特定共同事業法」が2017年に改正されたことによって、不動産クラウドファンディングの事業者数が急速に増加しています。
少額で投資でき、インターネットで完結できる観点から、安定的な運用が向いている投資家にとっては最適な投資手法です。
不動産クラウドファンディングで得た分配金は「雑所得」
不動産クラウドファンディングで投資家に還元される分配金は「雑所得」として扱われます。
不動産クラウドファンディングの分配金とは、不動産投資の運用結果によって発生した利益の一部を、事業者が投資家に分配する収益のことです。
このように不動産クラウドファンディングへの出資によって受け取った分配金は雑所得として扱われ、総合課税の対象となります。
ただし、分配金は事業者によって源泉徴収されるため、出資者が受け取れる金額は配当金にかかる源泉徴収税額(20.42%)を差し引いた金額です。
主にかかる税金と税率は下記です。
- 所得税:20%
- 復興特別所得税:0.42%
そのため、一部のケースを除いて、出資者が別途確定申告をする必要はありません。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告が必要な3つのケース
先述のとおり、不動産クラウドファンディングでは事業者によって源泉徴収されるため、原則として確定申告は不要です。
しかし、一定の条件を満たす場合には確定申告が必要です。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告が必要となるケースを解説します。
主に、以下の3つのケースが該当します。
- 雑所得が20万円を超える場合
- 最初から確定申告が必要な場合
- 課税所得額が695万円未満の場合
それぞれ具体的にみていきましょう。
雑所得が20万円を超える場合
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告が必要となる1つ目のケースは、雑所得が20万円を超える場合です。
具体的には以下のような収入が雑所得として挙げられます。
- 株式投資
- FXや仮想通貨取引
- 副業
- 原稿料や印税、講演料
税法上の所得は、10種類(利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時所得)に分類でき、他の9種類の所得にあてはまらない所得は「雑所得」に分類されます。
確定申告の対象として含まれる雑所得の20万円は、不動産クラウドファンディングによる収入だけではありません。
雑所得で他にも複数の収入がある場合には、すべての雑所得の合計金額となる点に注意しましょう。
最初から確定申告が必要な場合
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告が必要となる2つ目のケースは、最初から確定申告が必要だった場合です。
原則として、会社員は勤務先の企業が年末調整をしてくれるため、個人で確定申告を行う必要はありません。
しかし、雑所得の金額が20万円以下でも確定申告が必要なケースがあります。
もともと確定申告が必要な例としては、以下のような対象者が該当します。
- 青色申告の人
- 年収2,000万円以上の会社員
- 医療費控除を受ける人
- ふるさと納税でワンストップ特例制度の対象ではない人
確定申告をしていない場合や申告漏れがある場合には、ペナルティとして加算税を追徴されるため、注意しましょう。
課税所得金額が695万円未満の場合
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告が必要となる3つ目のケースは、課税所得金額が695万円未満の場合です。
そもそも課税所得金額とは、所得税の課税対象となる個人所得のことです。
不動産クラウドファンディングの事業者は、投資家に分配金を支給する前に源泉徴収として一律20.42%の税金を徴収しています。
しかし、課税所得金額が695万円未満の場合には所得税率は20%のため、税金を多く払いすぎていることになります。
このように、確定申告が必要ない人でも申告することで還付されることもあるため、課税所得金額が695万円未満の場合の場合には忘れずに確定申告をしましょう。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告3ステップ
不動産クラウドファンディングでの確定申告の必要性は、金額によって異なります。
確定申告の有無を判断するためにも、収入がわかる書類をもとに計算しましょう。
不動産クラウドファンディングで確定申告が必要な場合には、以下の手順で進めます。
- 必要書類を準備する
- 確定申告書を作成する
- 所管の税務署に確定申告書を提出する
各ステップを順番にみていきましょう。
1.必要書類を準備する
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告の1つ目のステップは、必要書類を準備することです。
自分の所得金額を計算して確定申告が必要となった場合には、以下の必要書類を取得しましょう。
- 確定申告書
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
- 源泉徴収票
- 支払調書
「支払調書」とは、不動産クラウドファンディングの事業者が出資した投資家に対してどれくらいの分配金を支給し、どれくらいの税額を源泉徴収したのかなど所得税を納めたことを証明するために発行される書類です。
2.確定申告書を作成する
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告の2つ目のステップは、確定申告書を作成することです。
必要な書類が準備できれば、その他の収入も含めて、実際の確定申告書に記入・作成していきます。
所管の税務署で受け取って手書きで作成できますが、国税庁の公式サイトにある「確定申告書等作成コーナー」からダウンロードして作成すると、時間や場所に関係なく申告できるため便利です。
また、会計ソフトウェアサービスを活用することで、より簡単に申告書類を作成できます。
記入漏れや申告ミスや記入漏れがないように、自分にあった方法で納税・申告しましょう。
3.所管の税務署に確定申告書を提出する
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告の3つ目のステップは、所管の税務署に確定申告書を提出することです。
確定申告書の作成が完了したら、所管の税務署へ提出します。
インターネット上で確定申告をする場合は、国税庁の「e-Tax」が利用可能です。
確定申告書の提出方法としては、3つの選択肢があります。
- e-Taxを使った電子申請(マイナンバー方式、ID・パスワード方式)
- 書面での郵送
- 税務署への直接提出
記入方法や入力内容などで不明点があれば、税務署に連絡して確認することが大切です。
ただし、確定申告の提出期間は税務署が混雑するため、余裕をもって提出しましょう。
不動産クラウドファンディングの節税効果
不動産クラウドファンディングは、節税の観点では活用できないため、適切ではありません。
しかし、確定申告することで払い過ぎた税金を取り戻すことができる場合があります。
また、不動産クラウドファンディングは組合形態の観点から以下のように分類ができます。
- 匿名組合型クラウドファンディング(節税不可)
- 任意組合型クラウドファンディング(節税可)
それぞれの特徴をみていきましょう。
「匿名組合型不動産クラウドファンディング」とは
匿名組合型のクラウドファンディングでは、投資家は事業者に対して出資をして、その対価として事業者は投資家に対して利益の一部を分配する義務が発生します。
不動産の所有権や運営責任は事業者にあるため、不動産登記は事業者が行います。
一方で、投資家の匿名組合員は不動産を所有せず、重要事項や運用方針などの決定権もありません。
不動産クラウドファンディングのほとんどが、匿名組合型のクラウドファンディングに該当します。
「任意組合型不動産クラウドファンディング」とは
任意組合型の不動産クラウドファンディングでは、複数の投資家と不動産クラウドファンディング事業者との間で任意組合契約を締結し、不動産を共同で所有します。
つまり、投資家と不動産クラウドファンディング事業者は対等な関係です。
投資対象となる物件の修繕や復旧が必要な場合には、不動産の所有者に該当する投資家もその費用を負担する恐れがあります。
税法上としては現物不動産を保有している場合と同じ扱いとなるため、分配金も「不動産所得」に分類される点には要注意です。
任意組合型の不動産クラウドファンディングでは、不動産の一部所有権を得られることが大きな特徴です。
不動産クラウドファンディングの税金に関連するよくある質問
不動産クラウドファンディングの税金に関連するよくある質問を以下にまとめました。
これから不動産クラウドファンディングの利用を検討している人や確定申告を控えている人はぜひ参考にしてください。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金を確定申告する際の種目は何ですか?
不動産クラウドファンディングの運用によって投資家に還元される分配金は「雑所得」に該当します。
そのため、通常の投資と同様に課税対象となり、確定申告が必要です。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告の書き方がわかりません。
確定申告書の書き方がわからない場合は、国税庁の公式サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。
マニュアルに沿って進めるだけで確定申告書を作成できます。
また、国税庁の「e-Tax」を利用することで、税務署に行かずにインターネット上で確定申告ができます。
それでも不明点がある場合には、所管の税務署に相談しましょう。
不動産クラウドファンディングにはどのようなメリットがありますか?
不動産クラウドファンディングを行うことによって得られるメリットには、少額から気軽に始められることや比較的利回りが高いことが挙げられます。
少なくても数百万円必要な現物不動産とは異なり、不動産クラウドファンディングでは複数の投資家から資金を集めるため、1口1万円から投資できるケースが多いです。
また、不動産クラウドファンディングでは、たいていの場合3%〜8%程度の利回りで運用しています。
不動産クラウドファンディングにはどのようなデメリットがありますか?
不動産クラウドファンディングを利用する際に注意すべきデメリットには、元本割れリスクがあることや税制上の優遇措置がないことなどが挙げられます。
優先劣後方式では元本割れリスクが低いものの、元本が保証されているわけではありません。
また、不動産クラウドファンディングは換金性と流動性が低いため、途中解約ができないケースも多いため、注意が必要です。
まとめ
不動産クラウドファンディングは、インターネットで気軽に安定的な収益が期待できることから注目が集まっています。
しかし、一般的な投資と同様、収益には税金がかかる点には注意しましょう。
不動産クラウドファンディングを始める場合には、税金やそれにともなうリスクなどをよく検討したうえで自分に最適な投資手法を選択することが重要です。
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