「不動産クラウドファンディングってそもそもどのような仕組みですか?」
「不動産クラウドファンディングのリスクはありますか?」
「他の不動産投資とはリスクがどれくらい違うものですか?」
このような疑問や悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
近年、新たな不動産投資のひとつの手法として「不動産クラウドファンディング」が注目を集めています。
一般社団法人日本クラウドファンディング協会の「クラウドファンディング市場調査報告書」によると、クラウドファンディング市場全体に占める割合は小さいものの、不動産クラウドファンディングの市場規模は着実に拡大していることがわかります。
少額から始められて比較的高い利回りで期待できることから、個人投資家にも人気です。
しかし、不動産クラウドファンディングにはリスクもあるため、注意を払う必要があります。
そこで今回は、不動産クラウドファンディングのデメリット・リスクを中心に、他の不動産投資と比較も交えて解説します。
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不動産投資クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で募った不特定多数の出資者(投資家)から集めた資金で不動産投資を行う仕組みです。
その不動産の投資や運用の結果として発生した運用益や売買差益をそれぞれの投資家に分配金として支払います。
不動産の管理は事業者(運営会社)が行うため、出資者(投資家)としては手間や費用をかけずに資金を集められます。
現物の不動産投資では金融機関から融資を受けるなど多額の資金が必要です。
その一方で、不動産クラウドファンディングの場合には不特定多数の人から資金調達できるクラウドファンディングの仕組みを利用していることから、初心者でも少額から不動産投資に参加できます。
不動産クラウドファンディングを利用するリスクやデメリット5選
不動産クラウドファンディングを利用することで付随するリスクもいくつか存在します。
不動産クラウドファンディングの代表的なリスクは、以下のとおりです。
- 元本割れリスクがある
- 中途解約できないリスクがある
- 投資できないリスクがある
- 運営会社の倒産リスクがある
- 税制優遇措置が受けられないリスクがある
それぞれ順番に解説していきましょう。
元本割れリスクがある
不動産クラウドファンディングを利用することの1つ目のリスクやデメリットは、元本割れリスクがあることです。
元本割れリスクとは、相場の変動によって、投資した当初の元本よりも下回ってしまうことです。
不動産クラウドファンディングは元本保証の投資対象商品ではないため、元本割れが起きた場合には損失を被ることになります。
不動産クラウドファンディングには優先劣後構造を取り入れていることも多く、元本割れリスクを緩和する効果はあります。
とはいえ、投資の側面がある以上、元本割れリスクはつきものです。
回避策として倒産リスクが小さい事業者を選ぶといいでしょう。
中途解約できないリスクがある
不動産クラウドファンディングを利用することの2つ目のリスクやデメリットは、中途解約できないリスクがあることです。
株式投資や現預金の場合、売却や引き出しですぐに現金化ができます。
しかし、不動産クラウドファンディングは投資期間が決められていることから、原則として運用期間中での解約はできません。
このように、不動産クラウドファンディングは換金性と流動性が低いため、すぐに現金化したいときにできないことはデメリットのひとつでしょう。
緊急の出費や手元資金がなくなることを避けるためにも、余裕資金で始めることや中途解約可能な不動産クラウドファンディングを選ぶことが求められます。
投資できないリスクがある
不動産クラウドファンディングを利用することの3つ目のリスクやデメリットは、投資できないリスクがあることです。
その理由としては、不動産クラウドファンディングのなかには、応募開始から数分で募集が終了してしまう可能性があるからです。
応募が殺到する人気の不動産クラウドファンディングの場合には、応募枠をかけてクリック合戦となります。
クリック合戦に負けて出資できなかった場合には、利率0%で運用していることと同じであるため、実質的な機会損失を意味します。
なんとか人気の不動産クラウドファンディングのクリック合戦に勝ちたい場合は、アクセスが集中しても問題ないように通信環境を整備することが大切です。
運営会社の倒産リスクがある
不動産クラウドファンディングを利用することの4つ目のリスクやデメリットは、運営会社の倒産リスクがあることです。
株式投資などと同様に、不動産クラウドファンディングにも運営会社の倒産リスクは存在します。
事業者である運営会社が倒産するのは、以下のようなケースが考えられます。
- 風評被害や社会的問題によって運営会社の信頼性の失墜する
- 保有物件の空室率の増加で売上が減少する
- 会社の資金繰りが困難になる
倒産リスクから回避するためにも、不動産クラウドファンディングの運営会社を選ぶ際は、会社の業績や過去の取引実績を事前に確認しておきましょう。
税制優遇措置が受けられないリスクがある
不動産クラウドファンディングを利用することの5つ目のリスクやデメリットは、税制優遇措置が受けられないリスクがあることです。
現物の不動産投資の場合、損益通算によって所得税や住民税の節税ができます。
しかし、不動産クラウドファンディングの場合には事業者に対して投資しているとの考えから、税制優遇措置がありません。
その他投資と同様、投資で得た利益に対して20.42%の税金がかかります。
節税目的で不動産投資を検討している場合は、不動産クラウドファンディングではなく、節税効果の見込める現物不動産投資がおすすめです。
不動産クラウドファンディングが儲からない理由3選
不動産クラウドファンディングに対して儲からないイメージをもっている人もいるかもしれません。
では、そもそもなぜ儲からないとされているのでしょうか。
不動産クラウドファンディングが儲からないとされる主な理由は、以下のとおりです。
- 短期間で大きな利益を得られない
- レバレッジ効果が高くない
- 金融機関の融資を受けられない
それぞれ詳しくみていきましょう。
短期間で大きな利益を得られない
不動産クラウドファンディングが儲からない1つ目の理由は、短期間で大きな利益を得られないことです。
不動産クラウドファンディングは安定的な収益が期待できる反面、短期間で大きな収益は得られません。
それは、不動産クラウドファンディングの主な収益源が家賃収入であり、値動きが大きくないからです。
不動産クラウドファンディングはリスクとリターンのバランスがとれた安定的な投資であり、長期的な視点で運用することが重要であることを理解しましょう。
レバレッジ効果が高くない
不動産クラウドファンディングが儲からない2つ目の理由は、レバレッジ効果が高くないことです。
レバレッジ効果とは、小さい資金で大きな利益を期待できる効果のことです。
現物不動産投資では、金融機関から融資を受けて他人資本を活用することによって、自己資金以上の利益率を見込めます。
しかし、不動産クラウドファンディングは基本的に自己資金のみで投資することから、自己資金以上のレバレッジの効いた利益率は望めません。
比較的リスクが小さいことはメリットですが、レバレッジ効果を高めることは難しいでしょう。
金融機関の融資を受けられない
不動産クラウドファンディングが儲からない3つ目の理由は、金融機関の融資を受けられないことです。
先述のとおり、現物不動産の場合は金融機関からの融資を受けることで、レバレッジ効果のある投資ができます。
それに対して、不動産クラウドファンディングでは自己資金のみで投資するため、一般的には金融機関から融資を受けて投資することはありません。
そもそも自己資金で投資する不動産クラウドファンディングは金融機関の融資を利用できません。
繰り返しにはなりますが、不動産クラウドファンディングの投資手法は、大きなリスクとリターンを狙わずに、比較的小さいリスクと安定的なリターンを狙うことを肝に銘じておきましょう。
不動産クラウドファンディングを利用するメリット5選
ここまでデメリットやリスクを解説してきましたが、もちろんメリットも多く存在します。
不動産クラウドファンディングを利用することで得られるメリットは、以下のとおりです。
- 少額から投資ができる
- 比較的高い利回りが期待できる
- 管理の手間がかけずに投資できる
- 大規模不動産にも投資できる
- 社会貢献にも寄与できる
順番にみていきましょう。
少額から投資ができる
不動産クラウドファンディングを利用する1つ目のメリットは、少額から投資ができることです。
不動産クラウドファンディングは、1万円から投資できるため、少ないリスクで手軽に始められます。
現物不動産投資の場合は数百万〜数千万円程度の費用が必要になるため、不動産クラウドファンディングの手軽さは大きなメリットです。
また、不特定多数の出資者から資金を集めるため、ホテルや教育施設など通常手が届かないような大規模不動産にも投資ができます。
比較的高い利回りが期待できる
不動産クラウドファンディングを利用する2つ目のメリットは、比較的高い利回りが期待できることです。
他の投資利回りと比較しても、不動産クラウドファンディングは比較的高い利回りが見込めます。
一般的には不動産クラウドファンディングの利回りは5%程度とされています。これは、銀行預金(0.001%)や株式投資(5%程度)と比較しても、比較的高い利回りです。
知識が必要でリスクも高い株式投資やFX投資とは異なり、不動産クラウドファンディングはリスクも抑えられているため、投資初心者にも好条件の投資手法でしょう。
管理の手間がかけずに投資できる
不動産クラウドファンディングを利用する3つ目のメリットは、管理の手間をかけずに投資できることです。
現物不動産投資の場合、入居者募集や売買契約業務など複雑な手続きが必要であり、運用管理に手間がかかります。
しかし、不動産クラウドファンディングの場合には運用管理業務を事業者に一任できるため、ほったらかし投資ができます。
そのため、不動産クラウドファンディングは本業やプライベートで多忙な人にもおすすめです。
大規模不動産にも投資できる
不動産クラウドファンディングを利用する4つ目のメリットは、大規模不動産にも投資できることです。
現物不動産投資でも大規模不動産に投資するにはかなりの費用がかかります。
大規模不動産の具体例としては、以下のとおりです。
- ホテル
- 病院などの医療機関
- オフィスビル
- 商業施設
不動産クラウドファンディングの場合には不特定多数から集めた資金で運用するため、このような大規模不動産でも投資ができます。
社会貢献にも寄与できる
不動産クラウドファンディングを利用する5つ目のメリットは、社会貢献にも寄与できることです。
不動産クラウドファンディングのなかには、社会貢献につながるものもあります。
具体的には以下のとおりです。
- 老朽化したホテルの再生によって、雇用創出や地方創生につながる
- 保育園の新設する投資によって、待機児童や少子化問題の解消につながる
このように、不動産クラウドファンディングは金銭的リターンだけでなく、ESG投資などの社会貢献につながるような社会的リターンも期待できます。
不動産クラウドファンディング以外の不動産投資とのリスク比較
不動産クラウドファンディングに投資する方法として、他にもいくつか存在します。
ここでは、いくつかある不動産投資のなかからREIT(不動産投資信託)と現物不動産投資をそれぞれ比較してみましょう。
REIT(不動産投資信託)との比較
REIT(不動産投資信託)とは、複数の投資家から集めた資金をもとに、不動産投資法人が不動産に投資をする金融商品のひとつです。
投資の運用結果として得られた家賃収入や売却益を投資家に分配する不動産投資信託です。
REIT(不動産投資信託)は金融商品としては投資信託に分類されるため、株価のように値動きがあり、価格変動リスクが比較的高くなっています。
また、不動産クラウドファンディングは優先劣後構造となっているため、REIT(不動産投資信託)よりもリスクが比較的低いでしょう。
不動産クラウドファンディング | REIT(不動産投資信託) | |
リスク | 値動きが比較的小さい | 価格変動リスクが高い |
現物不動産投資との比較
現物不動産投資の場合は数百万〜数千万円程度の費用が必要になります。
そのため、不動産価格が下落した際には大きな損失やダメージを受けることになります。
その反面、1万円など少額から始められる不動産クラウドファンディングの手軽さは大きなメリットです。
レバレッジ効果のある不動産投資や好条件の不動産を探せる人などは現物不動産投資でもおすすめですが、初心者の場合には不動産の選定や管理まで事業者に一任できる不動産クラウドファンディングから始めてみましょう。
不動産クラウドファンディング | 現物不動産投資 | |
リスク | レバレッジをかけられない | 初期費用が必要 |
不動産クラウドファンディングの失敗リスクを軽減する4つのポイント
不動産クラウドファンディングには失敗するリスクもあります。その失敗するリスクを少しでも軽減するためのポイントを4つ解説します。
失敗リスクは以下のとおりです。
- 複数の運営会社を比較する
- 少額から始める
- 余裕資金で分散投資する
- 優先劣後出資制度が導入されているファンドを選ぶ
失敗リスクを軽減するポイントを把握しておくことでリスクを抑えて投資しやすくなるでしょう。
複数の運営会社を比較する
不動産クラウドファンディングの失敗リスクを軽減する1つ目のポイントは、複数の運営会社を比較することです。
比較する点としては、以下のとおりです。
- 運用実績
- 取り扱いファンド
- 入出金の手数料
これらの確認するべきポイントは運営会社によって異なります。
特に重要なことは、運用実績です。
元本割れや配当遅延が起こっている場合には、その理由や対応方針などをしっかりと確認したうえで投資するかを判断しましょう。
少額から始める
不動産クラウドファンディングの失敗リスクを軽減する2つ目のポイントは、少額から始めることです。
これは投資初心者の場合は他の投資でも当てはまりますが、初めて投資する人や投資の専門的な知識が少ない人は、まずは少額から始めてみましょう。
いきなり多額の資金で始めることはリスクがあります。
知識や経験ができた段階で投資する金額を徐々に増やしていくことが理想的です。
余裕資金で分散投資する
不動産クラウドファンディングの失敗リスクを軽減する3つ目のポイントは、余裕資金で分散投資することです。
不動産クラウドファンディングは、原則として途中解約ができません。また、元本保証の金融商品でもありません。
そのため、流動性・換金性が低いことや元本割れリスクがあることを事前に想定して、余裕資金のなかで投資に充当させることが大切です。
また、1つの投資先に絞ってしまうと、損失が発生したときに大きなダメージを受けてしまいます。
そのため、投資先を分散させることによって、1つの投資先での損失を他の投資先の利益で補填することが実質的に可能になります。
優先劣後出資制度が導入されているファンドを選ぶ
不動産クラウドファンディングの失敗リスクを軽減する4つ目のポイントは、優先劣後構造が導入されているファンドを選ぶことです。
優先劣後構造とは、元本割れが発生した際に事業者から損失を負担し、投資家には優先的に利益を享受できる仕組みのことです。
そのため、優先劣後構造が採用されている不動産クラウドファンディングの場合には、元本割れリスクが緩和されています。
優先劣後構造の割合が高ければ優先的に得られる利益の割合が高くなるため、事前に割合をチェックしておきましょう。
まとめ|不動産クラウドファンディングのリスクも理解して始めましょう!
不動産クラウドファンディングには元本割れリスクや流動性リスクなどさまざまなリスクやデメリットがあります。
不動産クラウドファンディングにともなうリスクやデメリット、対策を理解することが大切です。
少額から始められるメリットを活用してぜひ不動産クラウドファンディングを始めてみましょう。
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