「不動産クラウドファンディングは節税できるの?」
「不動産クラウドファンディングに節税対策としてどのような方法がありますか?」
「少しでも税金の支払いを減らしたい」
このような疑問や悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
近年、「不動産クラウドファンディング」が新たな不動産投資手法として注目を集めるにつれて、多くの企業が参入してきています。
節税の可否や節税できる場合の方法などに疑問に感じている人も多いでしょう。
そこで今回は、不動産クラウドファンディングの節税方法やメリット・デメリットなどを解説します。
この記事を最後まで読むと、不動産クラウドファンディングで節税できるポイントの理解を深められるでしょう。
不動産クラウドファンディングの利用や節税を検討している人はぜひ参考にしてください。
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不動産クラウドファンディングは節税できる?
不動産クラウドファンディングは、節税の観点では活用できないため、適切ではありません。
しかし、確定申告することで払い過ぎた税金を取り戻すことができる場合があります。
また、不動産クラウドファンディングは組合形態の観点から以下のように分類ができます。
- 匿名組合型クラウドファンディング(節税不可)
- 任意組合型クラウドファンディング(節税可)
それぞれの特徴をみていきましょう。
「匿名組合型不動産クラウドファンディング」とは
匿名組合型のクラウドファンディングでは、投資家は事業者に対して出資をして、その対価として事業者は投資家に対して利益の一部を分配する義務が発生します。
不動産の所有権や運営責任は事業者にあるため、不動産登記は事業者が行います。
一方で、投資家の匿名組合員は不動産を所有せず、重要事項や運用方針などの決定権もありません。
不動産クラウドファンディングのほとんどが、匿名組合型のクラウドファンディングに該当します。
「任意組合型不動産クラウドファンディング」とは
任意組合型の不動産クラウドファンディングでは、複数の投資家と不動産クラウドファンディング事業者との間で任意組合契約を締結し、不動産を共同で所有します。
つまり、投資家と不動産クラウドファンディング事業者は対等な関係です。
投資対象となる物件の修繕や復旧が必要な場合には、不動産の所有者に該当する投資家もその費用を負担する恐れがあります。
税法上としては現物不動産を保有している場合と同じ扱いとなるため、分配金も「不動産所得」に分類される点には要注意です。
任意組合型の不動産クラウドファンディングでは、不動産の一部所有権を得られることが大きな特徴です。
先述したとおり、不動産クラウドファンディングは節税目的には利用できませんが、「任意組合型不動産クラウドファンディング」に投資すると節税効果が受けられると解説してきました。
その他の不動産クラウドファンディングで節税できる方法を4つ紹介します。
- 確定申告で還付を受ける
- 必要経費を計上する
- ほかの雑所得と損益通算する
- 青色申告特別控除を利用する
それぞれの節税方法を具体的にみていきましょう。
確定申告で還付を受ける【共通】
不動産クラウドファンディングでできる1つ目の節税方法は、確定申告で還付を受けることです。
1年間の課税所得金額が695万円未満の場合、確定申告によって払い過ぎた税金が還付されることがあります。
個人が納める所得税は、所得金額によって課税率が異なる累進課税制度が採用されています。
国税庁の公式サイトによると、課税される所得金額に対する所得税率は、以下の「所得税の速算表」で簡単に計算可能です。
課税される総所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円〜299万円 | 10% | 97,500円 |
330万円〜694万円 | 20% | 427,500円 |
695万円〜899万円 | 23% | 636,000円 |
900万円〜1,799万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円〜3,999万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
不動産クラウドファンディングの事業者は、投資家に分配金を支給する前に源泉徴収として一律20.42%の税金を徴収しています。
しかし、課税所得金額が695万円未満の場合には所得税率は20%のため、税金を多く払いすぎていることになります。
多く払いすぎた税金は、確定申告することで還付される可能性があるため、課税所得金額が695万円未満の場合の場合には忘れずに確定申告をしましょう。
必要経費を計上する【共通】
不動産クラウドファンディングでできる2つ目の節税方法は、必要経費を計上することです。
得られた利益の金額から必要経費を差し引いた金額に対して課税されるため、必要経費の漏れがないように計上することも節税対策として有効的です。
必要経費が増加すればするだけ課税される所得金額は少なくなることから、税負担も軽減できます。
利益を生み出すのに直接的な関係があるかどうかの判断基準で、過不足なく経費を計上しましょう。
ほかの雑所得と損益通算する【匿名組合契約】
不動産クラウドファンディングでできる3つ目の節税方法は、ほかの雑所得と損益通算することです。
これは匿名組合契約の場合にのみ適用されます。
匿名組合契約の損益は雑所得として扱われるため、減価償却費や青色申告特別控除が認められません。
しかし、FX投資や副業収入などで赤字がある場合は、これら雑所得と合算して損益通算できます。
損益通算とは、他の事業や投資などで損失が発生した場合、その損失と利益を合算して同一年分の損益を相殺することです。
雑所得はその他の所得との損益通算は認められていませんが、雑所得同士の損益通算は認められているため、対象者は確定申告をして払いすぎた税金を取り戻しましょう。
青色申告特別控除を利用する【任意組合契約】
不動産クラウドファンディングでできる4つ目の節税方法は、青色申告特別控除を利用することです。
これは任意組合契約の場合にのみ適用されます。
任意組合契約の所得は、青色申告特別控除の適用対象です。
控除を受けるためには、確定申告書提出期限までに青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。
控除金額は、申告方法と記帳方法によって異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
不動産クラウドファンディングを利用する3つのメリット
現物不動産とは異なり、不動産クラウドファンディングは誰でも簡単に始められる不動産投資手法のひとつとして注目されています。
投資によって利益が分配金として還元されること以外にもさまざまなメリットがあります。
不動産クラウドファンディングが選ばれる理由にもなっている利用するメリットは、主に以下の3つです。
- 少額から始められる
- 比較的利回りが高い
- 手間なく投資できる
それぞれのメリットを具体的にみていきましょう。
少額から始められる
不動産クラウドファンディングを利用する1つ目のメリットは、少額から始められることです。
少なくても数百万円が必要となる現物不動産投資とは異なり、不動産クラウドファンディングでは1口1万円から投資可能なケースが多くあります。
これは、複数の投資家から資金を集められるクラウドファンディングならではのメリットでしょう。
このメリットによって、現物不動産投資では手が届かないようなホテルや教育施設などの高額物件にも投資できます。
比較的利回りが高い
不動産クラウドファンディングを利用する2つ目のメリットは、比較的利回りが高いことです。
利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことです。
多くの場合、不動産クラウドファンディングの利回りは3%〜8%程度で運用されています。
当然のことながら、利回りが高いほど、還元される分配金も多くなります。
不動産価格の変動や空室状況によって利回りが保証されているわけではないですが、低金利の現代では有効的な手段になるでしょう。
手間なく投資できる
不動産クラウドファンディングを利用する3つ目のメリットは、手間なく投資できることです。
現物不動産投資の場合は運用前には審査や契約などの手続きが多くあります。
また、不動産での故障や事故などのトラブルに対応するなど、運用後には定期的なメンテナンスや管理が必要です。
しかし、不動産クラウドファンディングの場合、ほったらかし運用ができます。
その理由は、インターネットで手続きが完結して運用も事業者に一任できるためです。
本業やプライベートが忙しい人でも手軽に始められます。
不動産クラウドファンディングを利用する3つのデメリット
メリットが多い不動産クラウドファンディングですが、その反面、デメリットもあります。
不動産クラウドファンディングのデメリットも理解したうえで始めることが重要です。
- 元本割れリスクがある
- 税制上の優遇措置がない
- 換金性・流動性が劣る
それぞれのデメリットを順番にみていきましょう。
元本割れリスクがある
不動産クラウドファンディングを利用する1つ目のデメリットは、元本割れリスクがあることです。
不動産クラウドファンディングには、一般的な株式投資や不動産投資信託(REIT)などと同様、元本保証ではありません。
元本割れリスクとは、経済情勢などを起因に資産が価格変動することで、当初投資した元本よりも少ない金額で運用終了時に戻ってくるリスクのことを意味します。
不動産クラウドファンディングの場合には、想定していた利回りよりも分配金が下がってしまうなどのリスクが考えられます。
投資の側面がある以上、元本割れリスクも考慮したうえで不動産クラウドファンディングを始めましょう。
税制上の優遇措置がない
不動産クラウドファンディングを利用する2つ目のデメリットは、税制上の優遇措置がないことです。
自分で不動産を購入する現物不動産投資では、所得税や住民税などの節税対策ができます。
しかし、不動産事業を運営する事業者に対して投資をする不動産クラウドファンディングには、税制上の優遇措置がありません。
そのため、利益として支給された分配金にかかる税金はそのまま納めることが必要です。
繰り返しにはなりますが、節税目的で不動産投資を検討している場合は、不動産クラウドファンディングよりも自分で不動産を購入する現物不動産投資が最適な手段でしょう。
換金性・流動性が劣る
不動産クラウドファンディングを利用する3つ目のデメリットは、換金性・流動性が劣ることです。
換金性や流動性とは、金融商品などの資産を現金化するのにどれくらいの期間がかかるのかを表した要素です。
現物不動産投資であればすぐに利益を得られる一方で、不動産クラウドファンディングの場合には運用期間中の途中解約が原則できないため、換金性・流動性が低いとされています。
ハイリターンは期待できないものの、余裕資金があって、少ない出資額である程度の黒字化を狙えれば問題ない人にとっては最適な投資手法でしょう。
不動産 クラウドファンディングの節税に関連するよくある質問
不動産クラウドファンディングの節税に関連するよくある質問を以下にまとめました。
これから不動産クラウドファンディングの利用を検討している人や納税額を抑えたい人はぜひ参考にしてください。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金の確定申告の書き方がわかりません。
確定申告書の書き方がわからない場合は、国税庁の公式サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。
マニュアルに沿って進めるだけで確定申告書を作成できます。
また、国税庁の「e-Tax」を利用することで、税務署に行かずにインターネット上で確定申告ができます。
それでも不明点がある場合には、所管の税務署に相談しましょう。
不動産クラウドファンディングはどのような仕組みですか?
不動産クラウドファンディングは、複数の投資家が不動産事業に対して共同出資をして、運用結果として得られた収益の一部が投資家に分配される仕組みです。
従来の現物不動産投資の場合、自分で不動産物件を購入して運用する必要がありました。
しかし、不動産クラウドファンディングの場合は、物件の運用を事業者に一任して少額から投資できます。
これによって、現物不動産投資では手が届かないようなホテルや教育施設などの高額物件にも投資できます。
不動産クラウドファンディングの分配金には確定申告が必要ですか?源泉徴収されますか?
不動産クラウドファンディングでは、分配金が投資家に還元される前に事業者によって一律20.42%の税金が源泉徴収されるため、基本的には確定申告は不要です。
しかし、一定の条件を満たす場合には確定申告が必要となるため、注意が必要です。
不動産クラウドファンディングで確定申告すると住民税はどのようになりますか?
住民税は、収入の額に関係なく、確定申告を行う必要があります。
不動産クラウドファンディングでは、分配金が雑所得として扱われるため、20.42%の税金がかかります。
ただし、不動産クラウドファンディングの分配金とその他雑所得の合計金額が195万円未満の場合、払いすぎた税金が戻ってくるケースがあります。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金を確定申告する際は何所得の種目ですか?
不動産クラウドファンディングの運用によって投資家に還元される分配金は、所得の一部であるため、「雑所得」に該当します。
そのため、通常の投資と同様に課税対象となり、確定申告が必要です。
まとめ
不動産クラウドファンディングは、節税目的には最適な方法ではありません。
しかし、確定申告で払いすぎた税金が戻ってくることや必要経費の計上で税負担を軽くするなどの対策は講じられます。
不動産クラウドファンディングを利用するメリット・デメリット、節税方法を理解したうえで、自分に最適な投資を選択しましょう。
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